IoT機器(WiFi,ブルーツゥース等の無線回路を搭載した機器)の指令&整合規格について!

*近年、欧州に各種機器を輸出する場合に、IoT化(内部に無線回路を搭載)の機器が多くなっています。
(例:計測したデータをLAN経由インターネット、又はスマホに送るため)


*無線回路(WiFi,ブルーツゥースなど)を搭載すると、この機器は無線機器指令(RED)の該当になります。その結果、該当する指令が下図(IoT化による該当指令の増加)のようになる。
・該当指令、整合規格などの見直しが必要になります。
図.IoT化による該当指令の増加
図.IoT化による該当指令の増加


*計測・制御・試験室用機器の場合の例で説明します。
図. 計測器のWiFi,ブルーツゥースなどによるIoT化でREDに該当する

図.計測器のIoT化


1.無線回路搭載なし計測器等の場合


1.1 計測器に該当する指令
(1)EMC指令
(2)LVD指令
(3)RoHS指令
(4)WEEE指令
1.2 上記1.1の指令の整合規格
・EMC指令:EN 61326-1
・LVD指令:EN 61010-1
・RoHS指令:EN IEC 63000
・WEEE指令:EN 50419(ゴミ箱に×マーク)と届け出/報告など。


2.無線回路(ブルーツゥース等)を搭載した計測器等の場合


2.1 無線回路を搭載した機器の該当指令
(1)RED(無線機器)指令
・①無線スペクトラム適合要求
・②
REDの3.1.b)EMC適合要求(ETSI規格)
(2)製品安全要求(低電圧指令):REDの3.1(a)の安全要求

(3)EMC指令
(4)RoHS指令
(5)WEEE指令
2.2 上記2.1(1)の整合規格
(1) RED指令:無線スペクトラムの規格
固有の無線機能関連の整合規格があるので、これらを選択する。
a) ETSI EN 300 328 : 2.4GHz wideband Tx/Rx:
Wifi 802.11 b/b/n, Blutooth, Zigbee
b) ETSI EN 301 893 : 5GHz Wideband Tx/Rx: WiFi 802.11 a/n/ac
c) ETSI EN 300 220 : Garage door openers, remote keyless entry
 d) ETSI EN 300 330 :  Theft protection sensors, NFC(Near Field Communicatio)
 e) ETSI EN 300-440 : RC Toys, RFID
(2) RED指令の3.1(b)無線機器のEMC要求⇒ 注)EMC指令の製品カテゴリのEMC規格とは別である。
① RED共通のEMC規格(参考:ETSI EN 301 489-1 V2.2.3の体系)
ETSI EN 301 489-1 イミュニティ試験:RED要求の共通EMC規格
②各無線方式固有のEMC要求規格
・ETSI EN 301 489-3 : Short Range Devices
・ETSI EN 301 489-17 : Broadband Wireless
・ETSI EN 301 489-33 : Ultra Wide Band
・ETSI EN 301 489-52 : Mobile phones
(3)EMC指令: 製品カテゴリのEMC規格
・EN 61326-1 : 計測・制御・試験室用機器の製品EMC
(4) RED指令の3.1(a)Safety要求⇒LVD指令(0vから適用になる)
・EN 61010-1 計測・制御・試験室用機器の製品安全規格

・注:REDの安全要求は0Vからであるため、LVD指令のAC50V以上等の入力電圧範囲に関係なく、適用となる!
(4)RoHS指令EN IEC 63000
(5)WEEE指令:EN 50419(ゴミ箱に×マーク)と届け出/報告など


備考:人体暴露(EMF)規格「EN62479」について
・無線回路が搭載されている機器では人体に対する電磁波の暴露規格(EN/IEC 62479)に適合も必須です。
尚、無線回路のPmaxが「一般人:20mW以下、職業者:100mW以下」ならば、適合になります。
・「EN62479」はLVD指令の整合規格です。
・図.EMF(electromagnetic field)
EMF(electromagnetic field)

 

一般製品安全指令(GPSD) の対象は何か!全製品が対象

*一般製品安全指令(GPSD)は、製造事業者などに安全な製品のみを市場に供給させる目的のための、消費者保護規制に該当する。


EUの消費者向けあるいは消費者が利用し得る「全製品が対象」となる。
 (バッテリーやその他のDC 75 V 未満の電源で駆動される電気電子機器、家具、運動用機材、自転車、ライター、ベビー・キャリア、幼児用歩行器、
哺乳瓶など、多様な製品がこの指令の対象となる。)

・尚、 特定のEU法により安全規制(LVD、MDなど)の対象となっている「特定規制の製品」はそれらの法律に基づく。


*低電圧指令(LVD) 、機械指令(MD)などと同様に、製品の生産者や流通業者に義務がある。


*関連URL
GPSD(一般製品安全指令).


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英国ではEU離脱によるUKCAマーキングが開始しています!2021年1月1日

*英国では、2020年12月31日に、EU離脱により、2021年1月1日より「UKCAマーキング」が開始された!
・主な内容は以下です。


*イギリスがEUから離脱することにより、イギリスでは、新しいUKCAマークが2021年1月1日より使用されています。
・基本的には、2021年からイギリスで販売する製品はUKCAマーキングが必要。
・但し、2021年12月31日までは、CEマーキングでイギリスにも出荷できる。
・最終的には、2022年1月1日から、UKCAマーキングは、ほとんどの場合、製品に直接貼付する必要がある。
・図.UKCAマーキングへの移行(イギリス内)
図.UKCAマーキングへの移行(イギリス内)


*英国内のUKCAマーキングの適用地域
UKCAマーク(イングランド、ウェールズ、スコットランド)
図.UKCAマーク
UKNIマーク(NI:北アイルランド)
北アイルランドのUKNIマーク


UKCA(イギリス適合性評価)マーキングは、イギリス(イングランド、ウェールズ、スコットランド)で市場に投入される商品に使用される新しいイギリス製品マーキングです。
CEマーキングまたはイギリス(NI)マーキングを必要とする北アイルランド市場に置かれる商品には単独で使用できない。CEマーキングが必要。尚、UKNIマーキングも必要な場合もある。
英国向けマークについて
図. 英国向け(地域)とEU向けはマーク等が違う


*UKCAマーキングを使用する必要があるかどうかを確認する


・UKCAマーキングは、現在CE マーキングの対象となっているほとんどの商品に適用されます。エアロゾル製品にも適用されます。
・2021 年 1 月 1 日から、適合する必要がある技術要件 (必須要件) と、適合性を実証するための適合性評価プロセスと規格は、現在とほとんど同じ。
・UKCAマーキングは2021年1月1日から使用できます。ただし、企業が新しい要件に合わせられるように、ほとんどの場合、2022 年 1 月 1 日までCE マーキングを使用できる。
・場合によっては、2021 年 1 月 1 日から、直接、イギリスで販売する商品には、UKCAマーキングを適用する必要がある。従い、この日付までにUKCAマーキングを使用する準備が必要です。


*UKCAマーキングが適用の製品分野


・玩具の安全性
・レクリエーション工芸品とパーソナルウォータークラフト
・単純圧力容器
・電磁両立性(EMC)
・非自動計量器
・測定器
・リフト
・Atex
・無線機器(RED)
・圧力機器
・個人用保護具
・ガス器具
・機械(MD)
・屋外騒音
・エコデザイン
・エアロゾル
・低電圧電気機器(LVD)
・有害物質の規制(RoHS)


*UKCAマーキングの対象となる製品であり、いくつかの特別な英国規制がある製品


・医療機器
・鉄道の相互運用性
・建設用製品
・民間用爆発物
・エコデザインとエネルギーラベリングを必要とする製品


*UKCAマーキングを使用するためには


・イギリスの市場向け
・UKCAマーキングを必要とする法律の範囲に入っている.
・第三者機関による適合性評価が必須な製品については、イギリスの認定機関の認証が必要。


*技術文書の作成と保管


・製造者、又は正規代理人が10年間保管
・市場監視当局から要求された場合に提供できる技術ファイルの形式で情報を保持する必要がある。
・構成はCEマーキングの技術文書と同じ。
遵守する法律名、規格は異なる。 ← 注意


*UKCA(イギリス)適合宣言書


・UKCA適合宣言は、UKCAマークが合法的に付けられたほとんどの製品について作成する必要がある。
・製品が特定の製品に適用される関連する法的要件に準拠していることを宣言する
・文書に、製造業者(または認定代理店)の名前と住所、および製品と適合性評価機関(該当する場合)に関する情報が記載されていることを確認します
・イギリスのUKCA適合宣言は、要求に応じて市場監視当局が利用できるようにする必要があります。
・適合宣言に必要な情報は、EU適合宣言に現在必要な情報とほとんど同じだが、遵守する法律は英国法律名、又、規格名はBS名になる。← 注意
・必要な情報(内容): 一般的には次のものを含む。
a)製品の名前と会社の完全な住所、または認定代理人の住所 ← 英国内
b)製品のシリアル番号、モデル、またはタイプの識別
c)製品のコンプライアンスについて完全な責任を負うことを表明する声明
d)適合性評価手順を実施した承認機関の詳細(該当する場合)
e)製品が準拠する英国法とBS規格 ← 注意
e)あなたの名前と署名
f)宣言が発行された日付
g)補足情報(該当する場合


*参考:
・法律名の名称が異なる:下表
表. EUと英国の法律名称の違い


UKCAマーキング関連のURL
UKCAマーキングの英国政府サイトのガイド.
・2021年1月1日以降の整合規格Designated standardsリストのダウンロードページ(EMC、LV、RE等).


 

REACH 規則の概要

*REACH 規則は、「化学物質の総合的な登録、評価、認可および制限のEU制度」であり、ほとんどの化学物質を対象としている。
・2007 年 6 月 1 日に発効
・REACH規則の目的は、「化学物質がもたらすリスクから人の健康と環境を守ること」、「化学物質のEU域内の自由な流通」「EU化学産業の競争力の維持向上と革新の強化」などです。
・REACH規則では、既存・新規を問わずEU域内で1トン/年以上の化学品を販売するには、一部例外を除き、欧州化学品庁(ECHA)への「登録」が必要です。
また、製品についても意図的な放出がある場合は「登録」、有害性に関して高い懸念のある物質(SVHC)が含まれている場合は「届出」や「情報伝達」等の対応が必要です。


*REACHはすべての化学物質に適用される。
・工業プロセスで使用される物質だけでなく、例えば、クリーニング製品や塗料、衣類、家具、電化製品などの日常生活で使用される物質にも適用されます。
・したがって、この規制はEU全域のほとんどの企業に影響を及ぼします。


*REACHは、企業に立証責任を課しています。
・規制を遵守するために、企業はEUで製造・販売する物質に関連するリスクを特定し、管理しなければなりません。企業は、その物質がどのように安全に使用できるかをECHAに証明しなければならず、リスク管理策をユーザーに伝えなければなりません。
・リスクが管理できない場合、当局はさまざまな方法で物質の使用を制限することができます。
・長期的には、最も危険な物質は、より危険度の低い物質で代替されなければならない。


*REACHの機能
・物質の特性や危険性に関する情報を収集し、評価するための手順を定めている。
・企業は自社の物質を登録する必要があり、そのためには、同じ物質を登録している他の企業と協力する必要がある。
ECHAは、個々の登録が遵守されているかどうかを受け取り評価し、EU加盟国は、人の健康または環境に対する初期の懸念を明らかにするために、選択した物質を評価します。当局とECHAの科学委員会は、物質のリスクが管理可能かどうかを評価します。
・リスクが管理できない場合、当局は有害物質の使用を禁止することができます。また、用途を制限したり、事前認可の対象としたりすることもできます。
ECHA(欧州化学品庁)


*企業への影響と責任
・自社が化学物質に関わっているとは思っていない企業も含め、下記のような様々な分野の企業に影響を与える。
・製造企業:自社で使用するため、または他の人に供給するために化学物質を製造している場合(輸出の場合も含む)、おそらくREACHの下でいくつかの重要な責任を負う。
・輸入業者: EU/EEA域外から何かを購入する場合、REACHの下で何らかの責任を負う可能性がある。それは、個々の化学物質、外販用の混合物、あるいは衣類、家具、プラスチック製品のような完成品に拘わる。
・川下ユーザー:産業活動や専門的な活動で化学物質を扱っている場合は、その義務を確認する必要がある。何らかの責任を負っている可能性がある。
EU域外に設立された企業:Uの関税地域に製品を輸出していても、REACHの義務に拘束されることはないが、登録などのREACHの要件を満たす責任は、欧州連合内に設立された輸入業者、または欧州連合内に設立されたEU域外メーカーの任命代理人になる。


*登録:R ←企業の義務(1)
・「1企業1物質1年間1トン以上」を、EU域内で製造または輸入している製造業者や輸入者に対して登録の義務がある。
EU域内では登録されていなければ販売できず、「No Data-No Market
:データのない物質は市場から淘汰する」といわれる。
登録はECHA (European Chemicals Agency:欧州化学品庁)のITツール「IUCLID 6」 で行う。登録時にはテクニカルドシエといわれる文書のなかでさまざまな技術データの提出が要求される。要求される技術データは登録するトン数帯(年間販売量)により積み上げ方式で増える。


*評価:E
・評価はECHAが登録データについて5%抽出し、実施する。
・動物実験データについては、 全登録データについて必要性について評価する。
・登録データから、さらにリスク評価の必要性があれば、評価の優先対象リストとして、 ECHAは欧州共同体ローリング行動計画(Community Rolling Action Plan : CoRAP) を3 年にわたって毎年作成する。
・2016年4月に319物質が公開されている。


*認可:A
・認可対象物質はCandidate List(認可候補物質リストンに収載された物質(通称SVHC) から選定され、附属書XIVに収載(ECHAのWebで公開)され、認可を受けないと物質毎に設定された日没日(sunset date)以降は販売も使用もできない。
Candidate Listは半年に1回(6月と12月頃)追加される。


*制限:もうーつのR
・制限は、使い方の条件を制限するものである。制限の事例では、「カドミウムを樹鵬の着色剤として0.01重量%(l00ppm) 以上含有させてはならない」や「アスベストファイバーを意図的に含有させてはならない」などがある。制限はRollS(II)指令の義務と同じといえる。


*情報提供の義務: ←企業の義務(2)
・REACH 規則には情報提供義務がある。
・従来企業間取引では、化学物質等安全データシー ト(SafeW Data Sheet: SDS)を使って情報提供をしている。
・REACH規則では、化学物質の発がん性や生殖毒性などの有害性(これをハザードという)だけでなく、オープンな環境で使うのか、密閉して使うのかなどの使用方法(ばく露シナリオという)による健康に対するリスク情報が求められる。
・使い方によるリスクは、物質の製造業者による開発段階でのマーケティング調査や、顧客からの情報で特定する。使い方をばく露シナリオにして、化学物質の安全性評価(Chemical Safety Assessment : CSA)を行い化学物質安全報告書(CSR)にまとめるのが要求手順である。
・CSRから、許容できるリスクであるばく露シナリオについて、SDSの附属書にばく露シナリオの要約を記載する。通常のSDSと異なるので拡張SDS (Extended SDS/e-SDS)といわれる。
・CSRやe-SDSなどの作成支援ツールとしてChesar があり、ITツールのIUCLID 6からインポートして、補足情報を追加してCSRやばく露シナリオが作成される。
・e-SDSの意図するところは、ハザード管理からリスク管理へ、ということである。
・さらに、REACH 規則では、SVHCを0.1重量%(1,000ppm) 以上含有する成形品について、 顧客企業だけでなく、消費者にも求めに応じて45日以内に情報提供する義務があると定めている。
・これは企業の消費者への「知らせる義務」 といえる。


* SVHCとその義務: ←企業の義務(3)
・REACH 規則は化学物質だけでなく、化学物質の混合物、化学物質を含有させた製品にも適用される。
・このSVHC「Candidate List(認可候補物質リストンに収載された物質の基準」は、「発がん性物質」、「変異原性物質」、「生殖毒性物質」や「難分解性・生物蓄積性・有害性物質」などで、この中からリスク評価などの手順を経てCandidate List に収載される。
SVHCが成形品中に0.1重量%(1.0叩ppm)を超えて存在し、かつ、3年間の移動平均で年間1トン以上製造または輸入していれば、届出義務が生じる
1トン未満でも、SVHCを0.1重量%以上含有していれば、顧客(含む消費者)に、物質名称と安全取り扱い情報を提供する義務がある


*REACH 罰則の明記:
・10 万ユーロ以下の罰金または 2 年以下の懲役に相当する罰則が、REACH 規則の不遵守に対して課せられている。
・また、人々の健康・生命・財産を危険に晒すよう なケースでは、最大 5 年の懲役が科せられる。


*REACH 関連URL:
REACH 規則Regulation (EC) No 1907/2006.
EU REACH規制への対応.


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LVD指令の試験前に目視チェックを行うことはコスト削減になります

*CEマーキングのLVD指令の試験前に、目視レベルのチェックを行って、後戻りをなくしましょう。


・LVD試験の仕方は、①試験器を使用して試験すること、②目視検査の2つです。
図.LVD試験の仕方


*まず、自社において、①目視検査を行ってから、次に②試験器による試験をすることが後戻りをなくす方法です。
・この目視検査を行わないで、受験の場合は、試験器による試験後に、目視検査でNGの場合、試験器による試験を再受験になる可能性が高いからです。
・この目視検査は、試験器がなくても、自社で出来ることなので、規格内容が理解できれば、容易に実行できます


*従って、対象製品に該当する規格で、自社による目視チェックを行い、「再試験費用や試験期間延長」を防止しましょう。


*下図はLVD試験での自己試験の流れです。
図.LVD試験での自己試験の流れ


*参考:LVD指令の目視チェック(一部)
表.LVD指令の目視検査