EN 55011:2016/A11:2020(ISM機器EMC規格)の変更点!

*ISM機器のエミッション(EMI)規格である「EN 55011」が新しい版に改定されています。


「2022年5月4日」以後
* EN 55011:2009+A1:2010 EN 55011:2016+A11:2020


* 旧版からの「変更/新規」点


(1)放射妨害波の測定用設備として、「完全電波暗室(FAR)での試験」が可能となった。
 ・但し、EUTはポータブル機器ののみの制限がある。
 ・表6、表7、表10、表11,表12
(2)表2(クラスA&グループ1:AC電源ポートの伝導妨害リミット値)の追加
 ・75KVA超のリミット値が追加

(3)表3(クラスA&グループ1:
DC電源ポートの伝導妨害リミット値)の変更
 ・20KVA以下、20KVA~75KVA以下、75KVA超のリミット値が新規に追加

(4)表4(クラスB&グループ1:AC電源ポートの伝導妨害リミット値)
 ・「変更なし」

(5)表5(クラスB&グループ1:DC電源ポートの伝導妨害リミット値)
 ・「新規追加」

(6)表6(クラスA&グループ1:放射妨害のリミット値)の変更
 ・20KVA以下のリミット値、20KVA超のリミット値にわかれ、更にFAR暗室でのリミットが追加
 ・20KVA以上のリミットは緩和

(7)表7(クラスB&グループ1:放射妨害のリミット値)の変更
 ・FAR暗室でのリミットが追加

(8)表8(クラスA&グループ2:AC電源ポートの伝導妨害リミット値)
 ・旧規格の表6と同じ。

(9)表9(クラスB&グループ2:AC電源ポートの伝導妨害リミット値)
 ・旧規格の表7と同じ。

(10)表10(クラスA&グループ2:放射妨害リミット値)
 ・「大幅に変更」

(11)表11(クラスA&EDM及びアーク溶接器:放射妨害リミット値)
 ・「新規」

(12)表12(クラスB&グループ2:放射妨害リミット値)
 ・「新規」
注)その他変更/追加が有り。

*注)詳細は規格EN 55011:2016+A11:2020を参照ください。


 *「EMC規格の改訂時」の対応方法


(1)旧規格合格時の対象製品の状態が「筐体・回路などの変更がない」場合
 ・新旧規格において、違いがある試験項目のみを再試験または追加試験する。

 ・また、以前のEMC試験レポートに追加し、EMC技術文書を改訂し、理由などを記録する必要がある。
 ・また、試験が不要の場合においても、技術文書にその理由を明記しておく。

(2)筐体、インターフェイス、回路などの変更があった場合
  全項目の再試験が必須です。


「お問合せ」
・EN 55011などの規格変更に対応するコンサルや適合サポートなどを行っております。
・・EMC試験/事前評価を「実地サポート」します。
(公的試験所等にて、リーズナブルな料金でサポートしております。)
・また、CEマーキング全般のサポートもおこないます。

お気軽に「お問合せ」ページから、ご連絡下さい


 

無線機器指令の共通EMC規格は固定・車両・携帯の用途により、試験項目が異なる!

*無線機器指令の3.1(b)要求されている共通EMC規格「ETSI EN 301 489-1」は、用途により、試験項目が異なる。
・無線機器のEMC試験のテストプラン作成時にチェックしよう。
・以下の表のごとくです。
REDの共通EMC規格(ETSI EN 301 489-1)の用途別試験項目


「お問合せ」
・EMC試験/事前評価を「実地サポート」します。


計測・制御・試験室用機器のEMC規格(EN 61326-1:2013 )の概要!

*計測・制御・試験室用機器のEMC規格(EN 61326-1 / IEC 61326-1)について概要です。
・EN 61326-1:2013の体系:各章の構成を下の図のようになっています。


図.IEC 61326-1の体系
図.計測・制御・試験室用機器のEMC規格(IEC 61326-1)の構成

特に、注意すべき章は5章です。
・このテストプランの作成を正確に行う必要があります。


・テストプラン:5章
・イミュニティの要求事項:6章
・エミッションの要求事項:7章
・試験結果&レポート:8章
・説明書:9章

・電池又は、計測される機器からの電源で動作する可搬機器のイミュニティ要求事項:附属書A


1.エミッション要求内容
表.エミッション要求


2.イミュニティ要求内容
(1)基本(一般)環境
表.イミュニティ要求内容 基本
(2)工業環境
表.イミュニティ要求 工業環境

(3)EMC防護された制御電磁環境
表.イミュニティ要求内容 制御電磁環境


E・EMC試験/事前評価を「実地サポート」します。
(公的試験所等にて、リーズナブルな料金でサポートしております。)
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マルチメディア機器のエミッション規格(EN55032)の概要と許容値!

*EN55032:2012(CISPR32:2012)は「マルチメディア機器」のエミッション規格です。


・CISPR22(IT機器のエミッション)をベースにCISPR13(放送用受信機と関連機器のエミッション)から特有の箇所を取り込んだ規格になっています。


・欧州EMC指令では、EN55032:2012が2016年8月12日に発効されており、2017年3月5日から強制になっています。


1.EN 55032:2012(CISPR32:2012)の概要


*対象機器は何か
マルチメディア機器とは用語/定義(3.1.23)で下のごとく規定されている。
・情報技術機器(3.1.20),オーディオ機器(3.1.6),映像機器(3.1.29),放送受信機器(3.1.7),エンターテイメント照明制御機器(3.1.15),又はその組み合わせである機器
(1)測定方法
CISPR22を基本に、周辺機器を接続し、通常使用状態での、即ち、「システム状態の測定」が要求されています。
(2)CISPR13から、下の測定項目を追加
・放送用受信機の①チューナポート入力電圧測定、および②ビデオ変調出力電圧測定です。
(3)1GHzまでのエミッション測定距離は2パターン
3mと10mの測定を許容値があります。
(4)1G-6GHzのエミッション測定を追加
(5)有線ネットワークポートの伝導妨害測定を追加。
(CISPR22の通信ポートの伝導妨害のこと。)
尚、受信機のチューナポート、及びアンテナポートの伝導妨害測定も要求されている。


2.クラス分け(住宅環境使用、及び、それ以外での使用)

①住宅環境で主に使用することを意図している製品はクラスB。
②それ以外はクラスAになる。


3.複数の測定法が規定されている場合の選択

・そのどれかの測定法で適合すればよいようです。
尚、再試験の場合はその選択した測定で行わなければならない。


4.試験時のモニタ機器の表示内容

・複雑度によって4つのパターン表示が規定されています。


5.EMCテストレポートに記載すべき内容は
・「付属書のF」に参考として記載されています。


6.試験ポートの構成が定義されています。
・下図の様に①~⑨のポートで試験し、許容値が規定されています。
図.試験ポートの構成が定義


7.許容値の値はどこに記載しているのか


・付属書Aの「表」に規定されています。
・許容値は以下です。
①エンクロージャーポート:表A.2,表A.3,表A.4,表A.5,表A.6,表A.7
②AC電源ポート:表A.8,表A.9
③DC電源ポート:要求なし
④有線通信ポート:表A.10,表A.11
⑤信号・制御ポート:要求なし
⑥アンテナポート:表A.10,表A.11
⑦放送受信機チューナポート:表A.12
⑧RFモジュール出力ポート:表A.12
⑨光ファイバーポート:表A.11


8.許容値のまとめ


(1)放射エミッション
①-1.クラスA機器:30-1000MHz
表.①-1.クラスA機器
①-2.クラスA機器:1-6GHz
表.①-2.クラスA機器
②-1.クラスB機器:30-1000MHz
表.②-1.クラスB機器
②-2.クラスB機器:1-6GHz
表.②-2.クラスB機器
③FM受信機
表.③FM受信機
(2)伝導エミッション
①クラスA機器:適用ポート;AC電源
表.①クラスA機器
②クラスB機器:適用ポート;AC電源
表.②クラスB機器
③クラスA機器-非対称モード:適用ポート;有線ネットワーク、光ファイバ、アンテナ
表.③クラスA機器-非対称モード
④クラスB機器-非対称モード:適用ポート;有線ネットワーク、光ファイバ、アンテナ、放送受信チューナ
表.④クラスB機器-非対称モート
⑤クラスB機器-差動電圧:適用ポート;TV放送受信チューナ、RF変調器出力、FM放送受信チューナ
表.⑤クラスB機器-差動電圧


*関連記事
マルチメディア機器のイミュニティ規格(EN55035)の試験レベル値、判定基準について


*参考:EN 55032体系図
EN 55032:2015体系


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マルチメディア機器のイミュニティ規格(EN55035)の試験レベル値、判定基準について!

マルチメディア機器のイミュニティ規格(EN55035)の概要


1.EN55035:2017は有効になっています


マルチメディア機器が適合しなければならないEMC整合規格は以下になっています。
(1)エミッション規格:EN55032:2012/AC:2013
 (既に、2017年3月から、強制になっています。)
(2)イミュニティ規格:EN55024:2010、EN55020:2007又はEN55035:2017
・イミュニティ規格(EN55035:2017)は、2018年1月28日に発効され、2022年7月28日から強制になります


2.試験項目と試験レベル値


・本規格は、図1の様にマルチメディア機器の構成をポートに分類して、試験項目が規定されています。
・尚、詳細は本規格を参照下さい。
(0)ポート分類で規定
図1.機器のポート分類
図1.機器のポート分類
・試験項目、及び試験レベルは下のようにポート毎に規定されています。これらを列記します。
(1)筐体ポート
表.(1)筐体ポート
(2)アナログ/ディジタルポート(信号&通信)
表.(2)アナログ/ディジタルポート
(3)DC網電源ポート
表.(3)DC網電源ポート
(4)AC電源ポート
表.(4)AC電源ポート


3.性能判定基準は附属書A~Hに記載されている


・主機能により、判定基準はa)かb)を選択すること。
(1)主機能が以下に記載のAnnexの1つに該当する場合、その該当機能のAnnex(附属書)中の詳細な要求事項が優先される。

(2)主機能がAnnexAからHのどれにも該当しない場合は、一般性能判定基準を適用する。
a)機能別判定基準
Annex A: 放送受信機能
Annex B: プリント機能
Annex C: スキャン機能
Annex D: ディスプレイおよびディスプレイ出力機能
Annex E: 楽音生成機能
Annex F: ネットワーク機能
Annex G: 音声出力機能
Annex H: 電話機能
b)一般性能判定基準
・性能判定基準:A
 装置はオペレータの介入なしに、意図したとおりに動作を継続すること。装置の意図した使用において、造業者が定めた性能レベルを下回る性能劣化や機能喪失や動作状態の変化は許容されない。
・性能判定基準:B
 妨害試験中の性能の劣化は許容される。しかし、試験後に意図しない動作状態や保存データの変化が持続することは許されない。試験後、装置はオペレータの介入なしに、意図したとおりに動作を継続すること。
装置の意図した使用において、製造業者が定めた性能レベルを下回る性能劣化や機能喪失は許容されない。
・性能判定基準:C
 機能が自己回復するか、または使用者が製造業者の取扱説明書に従い制御することで回復するならば、機能の喪失は許容される。リブートや再スタートは許容される。
不揮発性メモリに保存、または電池によるバックアップ保護されている情報は、喪失しないこと。


*関連記事
マルチメディア機器のエミッション規格(EN55032)の概要と許容値


*参考:EN 55035体系図
EN 55035:2017体系


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EMC指令における、各製品に該当するEMC規格は何か!

*EMC規格は製品カテゴリ毎に、該当する規格が異なり、試験法、限度値なども違います。
・従って、製品ごとに該当するEMC規格を適切に選択する必要があります。


*主な製品のEMC規格のリストを下表に示します。


・表.主な製品カテゴリ毎のEMC規格リスト
表.主な製品カテゴリ毎のEMC規格リスト-1
表.主な製品カテゴリ毎のEMC規格リスト-2


*参考
CEマーキング関連のEU公式サイト(URL)!


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