MDRの適用に関するQ&Aが公表!2021年5月26日付け

*EUのRDR(医療機器規則:医療機器の安全性)のQ&Aが、2021年5月26日に、EU公式サイトに掲載されました。


・質問は1~13です。尚、回答は下のEU公式サイトで閲覧ください。
1. なぜ医療機器の新規則が必要なのか?
2. 患者さんにとっての主なメリットは何か?
3. 新規制で、影響を受ける製品はどのような製品か?
4.新しいルールは、今後の進歩に追いつくことができるのか?
5. 旧ルール(MDD)で認証された医療機器は、再申請しなければならないのでしょうか? ⇒以前の指令に基づいて発行された証明書は「遅くとも2024年5月まで有効」と規定しています。
6. 新規則により、医療機器の安全性はどのように向上しますか?
7. ノーティファイドボディの役割は何ですか?
8. 高リスク機器の評価のための精査メカニズムはどのように機能しますか?
9. 使い捨て機器の再処理に関するルールは?
10.医療機器規則の付属書XVIに記載されている、医療目的のない製品に関するルールはどうなっていますか?
11.医療機器におけるナノマテリアルの使用に関する規制はありますか?
12.医療機器データベース「EUDAMED」の状況はどうなっていますか?
13. 医療機器規則の適用が1年延期された理由は?


EU公式サイト:Questions & Answers: Application of Regulation on Medical Devices – EU rules to ensure safety of medical devices.
*関連記事:MDR(医療機器規則)が強制になりました!2021年5月26日.

MDR(医療機器規則)が適用になった!2021年5月26日

*2021年5月26日以降、新たにEU 内で販売または輸入される医療機器は、新しい医療機器規制(MDR): (EU) 2017/745は、適用(有効)になりました。


・MDR(Medical Device Regulation (EU) 2017/745)は2017 年に欧州連合官報に発行され、3年間の延長し、新型コロナの影響で更に1年延長されていました。
・これにより、新規製品では、医療機器指令(MDD)は発効になりました。
・なお、2021年5月26日前に、すでに市場で販売されていたMDD適合の製品は、2025年5月26日までは、販売できる。
・尚、UK(英国)市場の場合は、 UK Medical Devices Regulations (UK MDR) 2002 への適合が必要です。


一方の体外診断医療機器に関する MDR の付属規則 (IVDR として知られる 2017/746) は、体外医療機器規則(IVDR)、 5 年間の移行期間を経て、2022 年 5 月から、体外診断医療機器でも適用される。


MDDからMDRに置換わり
 図. 医療機器規制(MDR)への移行期間のさらなる延長


*欧州の医療機器認定機関(NB)が関与するため、NB認証が厳しく、認証までの期間が増え、更に、認証コストが大幅に増えるようです。
最低でも500万円程度!


MDR(医療機器規則)の必須要求事項(付属書Ⅰ):主なものは下の6つ。
①リスクマネジメント
 ・EN ISO 14971(医療機器のリスク管理の適用)
②ユーザビリティ:
 ・EN IEC 62366(ユーザビリティの医療機器への適用)
③臨床評価: ガイダンス参照
④設計並びに構造:
 ・製品規格:IEC 60601-1シリーズ(医療用電気機器 の 基本的安全性と基本性能に関する一般要件)
 ・ソフトウェア:EN IEC 62304(医療機器ソフトウェアの開発および保守の要件)
 ・EMC規格(IEC 60601-1-2)など適合
⑤ラベル表示:
 ・ISO 15223-1(医療機器のラベルに使用される記号、ラベリングおよび提供される情報)
 ・EN 1041(医療機器メーカーが提供する情報)
⑥市販後調査


*本記事の関連サイト:Public health: Stronger rules on medical devices.
*MDR規則(原文)は本サイト「ESTCJ便利リンク」ページ、4項EU規則(2)MDR(医療機器規則)より、参照ください。
*MRD整合規格リスト:MDR Harmonized Standards List.

・英国においては、EU MDRおよび EU IVDRは、それぞれ 2021 年 5 月 26 日および 2022 年 5 月 26 日から EU 加盟国に完全に適用されます。これらの規制は移行期間中に発効しなかったため、EU 離脱協定法によって自動的に保持される EU 法ではなく、したがって、英国では自動的に適用されません。
・つまり、EU MDRおよび EU IVDR に含まれる規定は、英国では法律に置き換えられず、英国では実施されません。(英国:医薬品・医療製品規制庁)


*関連記事
MDR適用の実践(クラスⅠ医療機器)


 

MDR(医療機器規則)の章と項目は何か!

*EUの新しい医療機器規則の章と項目は下のような構成です。
*MDR(医療機器規則)の章と項目
第1章 範囲および定義
・対象及び範囲(第1条)
・定義(第2条)
・定義の一部変更(第3条)
・製品の規制状況(第4条)
第2章 機器の上市及び使用開始、経済事業者の義務、再加工、CEマーキング、自由移動
・ 上市と使用開始(第5条)
・ 遠距離販売(第6条)
・ クレーム(第7条)
・ 調和規格の使用(第8条)
・ 共通仕様(第9条)
・ 製造者の一般的義務(第10条)
・ 認定代理人(第11条)
・ 認定代理人の変更(第12条)
・ 輸入業者の一般的義務(第13条)
・ 販売業者の一般的義務(第14条)
・ 規制遵守の責任者(第15条)
・ 製造者の義務が輸入者、販売者等に適用される場合(第16条)
・ シングルユース機器とその再加工(第17条)
・ インプラントカードおよびインプラントされた機器を持つ患者に提供すべき情報(第18条)
・ EU適合宣言(第19条)
・ CE 適合マーク(第20条)
・ 特殊用途の機器(第21条)
・ システム及びプロシージャーパック(第22条)
・部品・コンポーネント(第23条)
・ 自由な移動(第24条)
第3章 機器の識別とトレーサビリティ、機器と経済事業者の登録、安全性と臨床性能の概要、医療機器に関する欧州データベース
・ サプライチェーン内の識別(第25条)
・ 医療機器の命名法(第26条)
・ 機器固有識別番号制度(第27条)
・ UDIデータベース(第28条)
・ 機器の登録(第29条)
・ 経済事業者登録のための電子システム(第30条)
・ 製造者、認定代理人、輸入者の登録(第31条)
・ 安全性及び臨床性能の概要(第32条)
・ 医療機器に関する欧州データベース(第33条)
・ Eudamedの機能(第34条)
第4章 欧州認定機関
・ 欧州認定機関 に対する責任者(第35条)
・ 欧州認定機関 に関する要求事項(第36条)
・ 子会社及び再委託(第37条)
・ 適合性評価機関による指定の申請(第38条)
・ 申請の審査(第39条)
・ 届出申請に関する共同審査のための専門家の指名(第40条)
・ 言語要件(第41条)
・ 指定及び届出の手続き(第42条)
・ 欧州認定機関の識別番号とリスト(第43条)
・ 欧州認定機関の監視及び再査定(第44条)
・ 技術文書及び臨床評価文書の欧州認定機関 評価の見直し(第45条)
・ 指定・届出の変更(第46条)
・ 欧州認定機関 の能力への挑戦(第47条)
・ 欧州認定機関 担当当局間のピアレビュー及び経験の交換(第48条)
・ 欧州認定機関 の調整(第49条)
・ 標準料金表(第50条)
第5章 クラス分類及び適合性評価
・ 機器の分類(第51条)
・ 適合性評価手続(第52条)
・ 適合性評価手続きにおける通知機関の関与(第53条)
・ 特定のクラスIIIおよびクラスIIbの機器に関する臨床評価協議手続き(第54条)
・ 特定のクラスIIIおよびクラスIIbの機器の適合性評価に関する精査の仕組み(第55条)
・ 適合証明書(第56条)
・ 欧州認定機関及び適合証明書に関する電子システム(第57条)
・ 欧州認定機関の自主的な変更(第58条)
・ 適合性評価手続の免除(第59条)
・ 無償販売証明書(第60条)
第6章 臨床評価及び臨床試験
・ 臨床評価(第61条)
・ 機器の適合性を示すために実施される臨床試験に関する一般的要件(第62条)
・ インフォームド・コンセント(第63条)
・ 無能力者を対象とする臨床試験(第64条)
・ 未成年者の臨床試験(第65条)
・ 妊娠中または授乳中の女性に対する臨床試験(第66条)
・ 国の追加措置(第67条)
・ 緊急事態における臨床試験(第68条)
・ 損害賠償(第69条)
・ 治験の実施申請(第70条)
・ 加盟国による評価(第71条)
・ 臨床調査の実施(第72条)
・ 治験に関する電子システム(第73条)
・ CEマーキングを付した機器に関する臨床試験(第74条)
・ 治験の大幅な変更(第75条)
・ 加盟国が講ずべき是正措置及び加盟国間の情報交換(第76条)
・ 治験の終了時、一時中止又は早期終了の場合の治験依頼者からの情報提供(第77条)
・ 治験の調整評価手続き(第78条)
・ 調整済み評価手順の見直し(第79条)
・ 治験中に発生した有害事象の記録・報告(第80条)
・ 施行法第(81条)
・ その他の臨床試験に関する要件(第82条)
第7章 市販後調査、警戒及び市場調査

・ 製造者の市販後調査制度(第83条)
・ 市販後調査計画書(第84条)
・ 市販後調査報告書(第85条)
・ 定期的な安全性更新報告(第86条)
・ 重大事故と現場安全是正措置の報告(第87条)
・ トレンド報告(第88条)
・ 重大事故と現場の安全性に関する是正措置の分析(第89条)
・ 警戒データの分析(第90条)
・ 実施行為(第91条)
・ 警戒及び市販後調査に関する電子システム(第92条)
・ 市場監視活動(第93条)
・ 許容できないリスクまたはその他のコンプライアンス違反の疑いがある機器の評価(第94条)
・ 健康及び安全に対する許容できないリスクを呈する機器に対処するための手順(第95条)
・ 国の措置を連合レベルで評価するための手続き(第96条)
・ その他の不順守(第97条)
・ 予防的健康保護措置(第98条)
・ 良好な行政実務(第99条)
・ 市場監視に関する電子システム(第100条)
第8章 加盟国間、医療機器調整会、専門家試験所、専門家委員会及び機器登録の協力
・ 所轄官庁(第101条)
・ 協力(第102条)
・ 医療機器調整会(第103条)
・ 欧州委員会による支援(第104条)
・ MDCGの任務(第105条)
・ 科学的、技術的及び臨床的な意見及び助言の提供(第106条)
・ 利益相反(第107条)
・ 機器登録とデータバンク(第108条)
第9章 秘密保持、データ保護、資金調達及び罰則
・ 機密保持(第109条)
・ データの保護(第110条)
・ 手数料の徴収(第111条)
・ 欧州認定機関の指定及び監視に関する活動の資金調達(第112条)
・ 罰則(第113条)
第10章 最終規定
・ 委員会の手続き(第114条)
・ 委任の行使(第115条)
・ 委任された権限が異なる場合の別個の委任行為(第116条)
・ 指令2001/83/ECの改正点(第117条)
・ 規則(EC)No 178/2002 の第 2 条第 3 項に、追加(第118条)
・ 規則(EC) No 1223/2009の改正点(第119条)
・ 経過措置(第120条)
・ 評価(第121条)
・ 撤廃(第122条)
・ 発効及び適用日(第123条)
付属書
I 一般的な安全性および性能に関する要求事項
II 技術文書
III 市販後調査に関する技術文書
IV EU 適合宣言
V 適合性のCEマーキング
VI 第29条4項及び第31条に基づく機器及び経済事業者の登録時に提出すべき情報、第28条及び第29条に基づきUDI-DIとともにUDIデータベースに提供すべき中核データ要素、並びにUDIシステム。
VII ノーティファイドボディが満たすべき要件
VIII 分類規則
IX 品質管理システムに基づく適合性評価及び技術文書の評価
X 型式審査に基づく適合性評価
XI 製品適合性確認に基づく適合性評価
XII ノーティファイドボディが発行する証明書
XIII オーダーメイド機器の手続き
XIV 臨床評価及び市販後臨床フォローアップ
XV 臨床試験
XVI 第1条第2項にいう医療目的でない製品群のリスト
XVII 相関表

 

MDRクラス分類(例)と認証はどのようになっている!

EUのMDRでの医療機器分類の決定は、MDR CE マーキング の最初のステップです。


・EU MDR 2017/745 の第 51 条において、医療機器は、その使用目的と固有のリスクを考慮して、I、IIa、IIb、および III に分類
・リスクは、クラス I からクラス III まで増加する
・MDR では、附属書 VIIIに 「22 のルール」が記載


*MDR 医療機器の分類(例)と認証の種類


(1)クラス 1 – 低リスク
 例 : 矯正メガネとフレーム、手動車いす
 ・認証の種類 : 自己認証 / 自己宣言
(2)クラス 1s 低リスク (無菌)
例:個人保護キット、滅菌尿バッグなど
・認証の種類 : NB(通知機関)審査
(3)Class 1m Low Risk (測定体属性)
例:聴診器、天秤
・認証の種類 : NB(通知機関)審査
(4)クラス 1r 低リスク (再利用デバイス)
例 : 手術用鉗子 (SS/Tit 手術器具のすべてのタイプは、滅菌され、病院で再利用されます)
・認証の種類 : NB(通知機関)審査
(5)クラス IIa – 中リスク
例:矯正用ワイヤー、手術用手袋、ランセット
・認証の種類 :NB(通知機関)審査
(6)クラス IIb – 中から高リスク
例 : 整形外科用の爪とプレート、眼内レンズ、赤ちゃんの保育器
・認証の種類 : NB(通知機関)審査
(7)クラス III – 高リスク
例:ペースメーカー、人工心臓弁、心血管縫合糸、脳スパチュラ、医薬品・機器複合製品
・認証の種類 : NB(通知機関)審査


*関連URL
・Medical devices : Regulation (EU) 2017/745.


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医療機器ではEMCテストプラン作成が必須です!

医療機器では、EMC規格のIEC60601-1-2への適合が必須です。


・EMC試験前に、「EMCテストプラン」を試験所に提供しなければなりません。
・テストプランの推奨内容に関する指針が、付録Gにあります。


*下表は医療機器のEMC規格IEC60601-1-2のEMCテストプランの内容一覧(一部)です。
表.医療機器のEMC規格IEC60601-1-2のEMCテストプランの内容一覧(一部)
尚、全部の「IEC60601-1-2:EMCテストプラン内容」は「実用資料」のページにあります。