マルチメディア製品のIEC 62368-1設計フロー!

マルチメデイア製品に規格(IEC 62368-1)に適合させるためには、下図のような適合の流れになります。


情報処理機器のIEC 60950-1規格とは異なっています。
大きく異なっており、大事な点は、
・第一にこのマルチメディア製品の使用する「使用者の特定」です。この使用者の特定により、安全保護のレベルが異なっています。(3段階)
・設計者は本規格を理解して、各回路、およびリスクのレベルを正しく、区分け(3段階)しなければならない。
・IEC 60950-1の試験の場合は、ほとんどの項目が一定のリスクレベルの試験であるが、IEC 62368-1の試験では、内部回路のリスクレベルにより、試験の判定レベルも違う。従って、試験者は試験前にメーカの設計者から、前記のリスクレベルを教えてもらうことが必須になっている。
・即ち、メーカの設計者等はIEC 62368-1規格をよく理解する必要があります。


下図1は本規格の適合の流れです。

図1.IEC 62368-1適合の流れ


上図の内容の概要は以下です。
1.製品がこの規格の該当かを確認(1章)
1章(適用範囲)と附属書A(機器の例)で確認する
2.製品を使用する人を特定する。(0章)
使用する人を①一般人、②教育を受けた人、③熟練者の内から、特定する。
3.製品の仕様(定格)を明確にする(4章)
・入力出力電源
・電源接続のタイプ(脱着式電源コード、非脱着式電源コード)
・移動性(移動可能、手持ち式、運搬可能、設置、ラックマウント、壁掛け式)など
4.一般保護要求に対処する(4章&附属書)
・コンポーネントの規格適合品の使用に対する要求(4.1)
・部品要求:付属書(スィッチ、リレー、ヒューズ等保護器、コネクタ、巻き線部品、配線の絶縁、主電源コード、バリスタ、ICへの電流制限、抵抗、コンデンサ及びRCユニット、オフトカフラ、プリント基板、部品端子コーティング、加圧液体充填部品、コンダンサ放電機能を持つIC)(付属書G)
・遮断器(付属書L)
・エネルギー源の分類と保護の考え方(4.2, 4.3)
・安全防御(4.4):
・筐体等の堅ろう性(4.4.4)
・機械的強度試験(付属書T)
・爆発に対する保護(4.5)
・導電体の固定(4.6)
・主電源に直接差し込む機器での保護要求(4.7)
・リチウムコイン電池を使用する機器に対する保護(4.8)
・電池を含んだ機器(付属書M)
・導電物(金属クリップ等)による火災、又は感電に対する保護(4.9)
・通常動作、異常動作、単一故障状態の対応(付属書B)
・機器の表示、取説、及び情報(付属書F)
など
5.各ハザードのクラス分類を実施して保護要求に対処する(5~10章)
次のa)~f)のハザードについて、クラス分類を行い求内容に対処する。
a)電気的要因による傷害(5章):(ES1,ES2,ES3)
・電気エネルギーの分類(5.2.1)を行う。:①~⑥までについて該当の有無、及びES1,ES2,ES3のレベルを特定する。
①電圧と電流(5.2.2.2)、②静電容量(5.2.2.3)、③単一パルス(5.2.4)、④反復パルス(5.2.5)、⑤呼出し信号(5.2.6)、⑥オーディオ信号
・絶縁要求(5.4)
・安全保護用部品への要求(5.5)
・保護導体(アース)への要求(5.6)
b)電気的要因による火災(6章):(PS1,PS2,PS3)
・電力測定(6.2)
・難燃性(6.3)
・発火の可能性減少、炎拡散の抑制(6.4)
・内部・外部の電線(6.5)
c) 有害物質による傷害(7章)
・有害物質への暴露の減少(7.2)
・オゾン(7.3)
・電池及びその保護回路(7.6)
d)機械的要因による傷害(8章):(MS1,MS2,MS3)
・機械的エネルギー(8.3)
・鋭利な部分に対する保護(8.4)
・運動部分に対する保護(8.5)
e)熱エネルギーよる熱傷(9章) :(TS1,TS2,TS3)
・アクセス可能な部分の温度
f)放射(10) :(RS1,RS2,RS3)
・レーザ、ランプ及びLED、X線、音圧の分類
・紫外線放射からの保護(付属書C)
6.関連する附属書に対応する
附属書B(規定)通常動作状態試験,異常動作状態試験及び単一故障状態試験
附属書C(規定)紫外線放射
附属書D(規定)試験用発生器
附属書E(規定)オーディオ増幅器を含む機器の試験条件
附属書F(規定)機器の表示,説明書及び指示セーフガード
附属書G(規定)コンポーネント
附属書H(規定)呼出シグナルに関する判断基準
附属書J(規定)介在絶縁物なしで用いる絶縁巻線
附属書K(規定)安全インタロック
附属書L(規定)遮断デバイス
附属書M(規定)電池を含んだ機器,及びその保護回路
附属書N(規定)電気化学的電位
附属書O(規定)空間距離及び沿面距離の測定
附属書P(規定)導電物に対するセーフガード
附属書Q(規定)建物配線との相互接続を意図した回路
附属書R(規定)制限回路短絡試験
附属書S(規定)耐熱性及び耐火性の試験
附属書T(規定)機械的強度試験
附属書U(規定)CRTの機械的強度及び爆縮の影響に対する保護
附属書V(規定)アクセス可能部分の決定


 

参考)IEC 62368-1の体系図


#当方では、「IEC 61010-1,IEC 60204-1,IEC 62368-1解説の出張セミナー」を行っております。
お気軽にお問合せ下さい。

AV/情報通信機器の規格 IEC 62368-1の概要!

このAV/情報通信機器の製品安全規格においては、「体系など基本内容」を理解することが重要です。


・表題:「オーディオ・ビデオ及び情報通信技術機器」の安全要求事項(Audio/video, information and communication technology equipment – Part 1: Safety requirements)


主なポイントは以下です。
・適用範囲:「適用の機種例」が附属書Aに記載されている。
・リスクベース規格:IEC 61010-1と同じくリスクベースの要求事項である。
・しかし、リスクアセスメントの要求はない。
・一般要求事項は第4章と附属書
・各危険源リスクへの要求事項を5章~10章に記載
電気的傷害(5章)
電気による火災(6章)
有害物質(7章)
機械的傷害(8章)
熱による傷害(9章)
放射(10章)
・体系及び要求内容がIEC 60950-1と異なる。
・試験レポート形式も全く違う。
・「各リスクの限度値」は危険エネルギーの危険レベルにより、異なる。


*参考:IEC 62368-1とIEC 60950-1の体系
(1)IEC 62368-1体系

(2)IEC 60950-1体系


*参考情報:JEITAから比較表が公開されている
IEC 62368-1 第 2 版 - IEC 60950-1 第 2 版 Amendment2 対比表


*参考情報
・IEC 62368-1:2014(2版)のJIS版(JIS C62368-1:2018)が発行されており、下のJISCから、閲覧できます。


*上記の支援を致します。
・「ご依頼内容」を「お問合せ」から、ご連絡下さい。

自社でのLVD試験により、CEマーク費用削減しよう!


・LVD(低電圧指令)は指令では、本指令内に記載されているように自己評価(モジュールA)が原則になっています。(LVDの試験は自社検証でよく、NB(認定試験機関)の関与は必須ではありません。)
このため、自己検証で、CEマークの自己宣言ができます。
1.自社検証によるLVDの規格試験費用の削減、及びノウハウの蓄積が図れます。
・最初の試験では試験方法を理解しなければなりませんが、その後の多数の試験は容易に試験できるようになり、試験費用は大幅に抑制できます。

・更に、LVDの規格内容も理解でき、製品への規格対応ノウハウが蓄積されていきます。


2.IEC 61010-1規格の体系
・LVD試験の計測・制御・研究室用機器の規格はEN/IEC61010-1です。
この規格の体系は下図のようになっています。
主に試験に関係する項目は、保護要求(6~15項)になります。


3.試験機器が必要な試験項目
・特に測定が必要な試験項目は「電気関係と温度関係」の測定が主です。その他の項目は測定器を使用しない目視等による検査がほとんどです。
・電気、温度の試験には上記の電気と温度関係の計測器を揃えるか、又、不足分はレンタル等で借りることで、対応できます。


4.試験機器も導入費用
・電源入力が16A以下ならば、EMC試験設備(数億以上)と比べて、非常に安く(約3百万程度)設置できます。
・又は、試験機器をレンタルして、試験することも有効です。


5.テストレポートの作成
・テストレポート様式はIECから購入して、利用できます。


6.各種の効果:ノウハウ蓄積、開発期間短縮
*「自社で試験を行うのメリット」は、要求事項、試験方法の習得による、「製品安全の対応設計」のノウハウを蓄積できます。
*試験所の予約・待ち時間等に左右されなくなど
、「開発期間の短縮」が図れます。


*上記を支援いたします。
・お気軽にお問合せ下さい

CEマーク適合の簡易チェック!

 始めて、海外へ電気・電子製品を輸出する場合、欧米はもちろん、多くの国でIEC規格に基ずく規格の適合が必須です。
まずは、その輸出する対象製品が各国が要求する規制(
規格)に容易に適合できるものなのか、いないかを判断することが大切です。
 この簡易チェックを行うことで、かなりの設計変更を減らすことで、期間の短縮、とCEマーク費用の抑制ができます。


・特に主なポイントは以下です。
1.筐体関係
・開口部の大きさ
・筐体アースの仕方、マーク表示
・表示(定格、LED表示色等、警告表示)
2.部品の規格適合
・一次側部品(コネクタ、スィッチ等)
・保護機能部品(ユーズ)
・モータ(ファン含む)
・電池(リチウム電池等)
3.プラスチック部品の難燃性
4.ノイズ部品の使用
など


・安全設計チェックリスト
参考資料のページには、「安全設計チェックリスト」がありますので、利用下さい。


*上記の簡易チェックを行っております。
その他、
お問合せ下さい。

CEマーキング適合の流れ:No.2

(2)リスクアセスメントを実施する
EU指令では、リスクアセスメントの実施が「各EU指令の必須要求事項内」で要求されています。

電気・電子機器におけるリスクアセスメントの一般的な手順を記載します。
下図のように①~⑥を順次、行っていきます。

①製品の仕様に基づき、製品を使用する人、使用される場所・環境を限定する
②起こり得る危険源リスクを全て洗い出す
③各指令のどの必須要求事項が製品に適用されるのかを決定する。
④次に、洗い出して特定したリスクが、客観的に、世の中に受け入れられるレベルなのかを査定する。⑤安全でないリスクの場合はリスク低減の対策を実施する
⑥全てのリスクの評価後は、記録を残す。
備考:リスクアセスメントの実施には、以下の確認も必要です。
・リスクアセスメントの記録には製品及び環境に関する現象を明記する。
・製品の典型的な使用、予見可能な誤使用についても評価する。
・装置が色々と異なる構成を取りうる場合は、「あらゆる可能な構成において」、製品が必須要求事項を満たすことを確認する。
・整合規格の一部のみを適用した場合、又は、整合規格が該当する必須要求事項の一部でも、記述していない危険源がある場合は、その危険源のリスクについて、リスクアセスメントを行い、その結果を文書に残さなければならなりません。

CEマーキング取得費用を削減する方法!

欧州に電気・電子機器を輸出するには、CEマーキングが必須です。そのために、相当な費用が掛かっているのが、現状の模様です。


その際に、欧州認証機関を関与させた場合には、「試験費だけでも、相当な取得費用(数百万以上)が掛かっている」のが実情のようです。


又、国内向けの製品をCEマーキングに適合させるために設計変更の発生や再試験のために、「当初の開発期間の延長」を発生させています。


 この取得費用を削減するため、下のような「自己検証方法の習得」、及び「規格の知見向上(ノウハウ蓄積)」を行う方法が一番です。


1.「自社検証方法」を利用した試験費用の削減
・自己検証(モジュールA)でよい指令として、LVD、EMC指令(下記①,②)等があります。
これらの指令(法律)では自社検証(試験)が原則として規定され、認められています。
・相当な試験・認証費が掛かる欧州認定機関を関与させないで、自社の検証により、試験・検査を実施することにより、CEマーキング取得費用を大幅に削減できます。
①自社検証でよい(欧州認証機関関与不要)指令
  ・低電圧指令(LVD)
  ・EMC指令(電磁環境適合性)
  ・無線機器指令(RED)
  ・RoHS指令(特定有害物質の使用制限) 等
②指令の規定の対象範囲外では、自己検証可能な指令
  ・機械指令(MD):付属書Ⅳ以外は可能
  ・圧力機器指令(PED):原則最高許容圧力0.5bar以下は適用外、又、PEDで危険分析カテゴリⅠに該当し、他の指令(機械指令・リフト指令、低電圧指令、ガス器具指令、防爆指令等)が適用されているもの。


2.規格の適合性向上(ノウハウ取得)
これは、規格の要求内容を理解して、対象機器毎の「規格適合の設計ノウハウを蓄積」することにより、設計変更の削減、又は再試験の繰返しなしでスムーズに適合させる。

・多くの企業では、EMC&製品安全(LVD)の知見がないため、規格値の不適合による設計変更や、これによる再試験が何回も発生しています。
この状況を抜け出すためには、対象製品に該当規格に適合する設計ノウハウを習得する必要があります。
設計ノウハウを蓄積すれば、相当な試験費用や設計変更費用、開発期間の削減が可能になります。


3.自己検証を行うためには、どうすればよいのか
最小限、以下(1)、(2)、(3)を実施する必要があります。
(1)規格の理解向上
 ・規格内容について理解するためには、自社内又は社外の専門家から、学ぶことになります。
a)EMCの場合:試験項目と、それに対処する「EMC対策の検討」が大切になります。
b)LVDの場合:各種リスクに対処するための製品安全規格の要求事項の理解により、設計に適用します。
(2)試験方法の習得
試験方法は、試験の立会時に試験方法を取得する、又は、一番よいのは、社内外の経験者から学ぶことです。
a)EMCの場合:各試験項目毎の試験構成、配置、動作条件を決定することです。
b)LVDの場合:各試験項目毎の試験構成、配置、動作条件を決定することです。
(3)試験機器の整備:導入・レンタル
試験機器を購入するか、レンタルする。又は公設試などで、機器を借りて試験する。そして、試験レポートのIEC雛形を購入する。
*尚、10A以下の電気試験器であれば、数百万で購入が可能です。
・そして、前記で学んだ試験法を実践しなければなりません。


4.自社検証の効果とデメリット
(1)色々な効果
 下の①の試験費用削減のみでなく、その他の大きな効果(②~⑤)が期待できる
①第一の効果は認証・試験費の大幅削減です。
②少量生産品の場合は特に有効です。
(認証機関の費用は少量生産品でも、ほとのど変わらない。)
③開発期間の厳守
開発から出荷までのスケジュールが試験所の都合ではなく、自社主体で立てられて、開発期間を厳守できる。(試験所の空き状況に左右されない)

④自社の設計、品質管理部門の規格知識レベルが大幅に向上する。
(認証試験機関に依存の場合は、ただ単に規格適合した結果のみしか残らないことが多く、大切な点がどこであったかが不明になり、次の設計に生かすことができない。)
⑤次機種などへの設計ノウハウが蓄積されため、海外展開が容易になる。
*上記のごとく、その製品での、費用削減効果だけでなく、今後の製品開発に生かされて、製品開発での競争力向上が図れます。

(2)デメリット(尚、自社の研修、知見向上により、回避できます。)
・第三者によるエビデンスでないため、適合性の信頼がないと相手から受け取られる場合がある。(但し、規格に適合する設計・製造を行っていれば、相手の要求に応じて受験することが可能である)
・自社試験者の試験に対する規格の理解度、や経験度により、判定が変わってしまう可能性がある。など
#但し、前記デメリットは、営業的に相手要求による認証を要する場合においても、確実な自社検証能力を有していれば、スムーズの試験をパスすることができるため、必要最小限の試験費用に抑えることが可能となります。


参考1. 発生コストについて
(1)EU等認定機関利用の認証&試験費用
・EMC試験費:数百万円~(尚。再試験時は更に2~3倍)
・LVD試験費:百万円~(尚、再試験時は更に2~3倍)
・MD(機械):数百万円~(尚、再試験時は更に2~3倍)
(2)CEマーキングの総合費用(概算300万~)
・例えば、計測・制御・実験室用の機器で、必須な指令として、EMC、LVD、RoHs等が必須です。
一般的な認証機関では、それらの試験費用は500万程度掛かっているようです。
その他に必要な、技術文書作成、取説の翻訳を、外部に依頼すれば、更に100万以上の追加費用が発生しているようです。
(3)認証管理費、定期工場検査費
 ・毎年100万以上掛かるようです。
(4)自社主体で実施した場合

・EMC試験費:試験項目一部でも自社、もしくはレンタルで対処して、コストを削減します。特に10m電波暗室を利用すると1日当たりの利用料は約30万以上が掛かるので、事前評価を十分に行い、1回でクリアーすることが確実になってから、電波暗室で試験します。
・LVD試験費:基本的に、電気試験設備を持つか、試験機器をレンタル、もしくは公設試験所で行うことにより、数十万で実施可能になります。


参考2. 認定試験機関等が行わない自社が行う業務内容(メーカが作成しなければならないもの)
(1)EMC、製品安全試験等の不適合時の対策
・欧州認定機関(NB)、試験所等は支援しません。これは、認定機関、認定試験所は不適合時のアドバイスは禁止されているから、できないのです。
・したがって、対策ノウハウを保有していないと、どんな対策をを行うのか分からず、開発が遅れ、更に試験費用が増大します。試験所にとって、好都合となります。
(2)適合宣言書(DOC)、技術文書(TD)の作成について
・これらは、メーカが作成することと義務付けられているので、欧州認定機関(NB)、試験所等は作成しません。従って、自社で作成しなければなりません。
・このことを知らずに、これらの文書を作成せずに、出荷しているケースもあるようです。
以上です。


上記の「トータルの費用削減」や「繰り返し試験防止」、「事前の規格適合性チェック」などでは、当方のような「EMCと製品安全のコンサル」が必要になっております。
・「ご依頼内容」を「お問合せ」から、ご連絡下さい。