EMC指令のためのノイズ対策で重要なポイントは何か!

*EMC指令をクリアーするためには、製品の設計でノイズ対策を考慮しなければならない。しかしながら、WEBでは、まとめたものが少ない。
*ノイズ対策の重要なポイントを列記します。


1.筐体、構造、回路構成、回路・基板・等でそれぞれのEMCを考慮した設計を行う。


2.対象部分を重要な箇所とその他の箇所に振り分ける。
①ノイズ発生が多いか②影響を受けやすい回路と、③どちらでもない回路を特定します
②それらを可能な限り別のエリアに配置します
 ③内部および外部インターフェイス箇所を選別して、最適な共通コモンモード電流の制御を行う。


3.部品と回路をEMC対策的に選定する
・例えば、IC選定では、可能であれば、低速または高耐性ICロジックを使用する。又はデータ転送インターフェイスにスルーレートの制限を入れる。
・回路設計で、rfデカップリング技術を使用する。
・クロック回路のファンアウトを減らす
・敏感なアナログ入力には、抵抗性、フェライト、または容量性フィルタリングを組み込む。
・ソフトで、マイクロプロセッサにウォッチドッグ回路を組み込む


4.PCB設計
・信号パターンのリターン電流の戻りパターンを確認し、適正化する。
・敏感な回路は、干渉経路から遠ざけるインターフェイスグランドプレーンを組み込む。

・1つ以上の複数のグランドプレーンを使用して、接地インダクタンスを最小化します。電源プレーンも組み込んでいますが、これらを重ねない。
・高電流、急峻な立ち上がり・立ち下がり、敏感な回路で囲まれた回路のループ面積を最小化する。
・高dv / dtのパターンの表面領域を最小化します。どこにもつながらないパターン導体は残さず、塗りつぶしは接続されていることを確認する。
・パターンと部品のリーの長さを最小化
・フィルターの設置はインターフェースに隣接して配置する。
・EMC上重要な回路は、基板のエッジから離して配置する。


5.配線、ケーブル:
・信号ケーブルと電源ケーブルの並行配線を避ける。
・適切なEMC選定した信号ケーブルと接続コネクタを使用する。
・1Mhz以下ではツイストペア線を使用し、平衡または高ディルド線
導電性接地構造の近くで、ケーブルをシールドの開口から離なす。
・ケーブル長さが外来ノイズで共振している場合は、フェライトサプレッサーでケーブルを減衰すること。
・ケーブルシルードがコネクタに正しく終端されていることを確認する。尚、ピッグテールを避ける。
・適切なインピーダンスで高周波信号の回線を終端する。


6.グランディング:
・製品の設計初期段階、グランドシステムを検討し、実施する
・グランドステムをOV基準ではなく、帰路電流パスと見なして、設計する。
・スクリーン、コネクター、フィルター、キャビネットなどの適切な結合を行う。
・グランド接続方法は悪環境で劣化しないことを確認する
・筐体グランドの導電性領域は塗装をマスクして、製造する
・できる限りアース線を短くする
・共通の接地インピーダンスを避ける
・すべてのインターフェースを分離するために、「クリーンな」接地領域を作る。


7.フィルター:
・電源ライインのメインフィルターを最適化する。
・コンデンサ単体、またはコンデンサの組合せを使用して、I / O信号ラインをフィルタリングする。
各ボードのDC電源入力にパイフィルターを設置する。
スイッチやモーターなどの発生ノイズをフィルタで抑制する。
フィルターコンポーネントと関連する配線またはトラックのレイアウトには注意して設計する。


8.シールド:
・対象の周波数範囲から必要なシールド特性タイプとシールド領域を決定する。
・特に敏感な場所やノイズの多い場所は部分シールドで囲む。
・シールドの大きな開口部または共振開口部を作らない。又は、それらを小さくするための対策を講じる。
。別々のパネル構造では、継ぎ目に沿ってしっかり結合されていることを確認する。


 

マルチメディア機器のエミッション規格(EN55032)の概要と許容値!

*EN55032:2012(CISPR32:2012)は「マルチメディア機器」のエミッション規格です。


・CISPR22(IT機器のエミッション)をベースにCISPR13(放送用受信機と関連機器のエミッション)から特有の箇所を取り込んだ規格になっています。


・欧州EMC指令では、EN55032:2012が2016年8月12日に発効されており、2017年3月5日から強制になっています。


1.EN 55032:2012(CISPR32:2012)の概要


*対象機器は何か
マルチメディア機器とは3.1.23で下のごとく規定されている。
・情報技術機器(3.1.20),オーディオ機器(3.1.6),映像機器(3.1.29),放送受信機器(3.1.7),エンターテイメント照明制御機器(3.1.15),又はその組み合わせである機器
(1)測定方法
CISPR22を基本に、周辺機器を接続し、通常使用状態での、即ち、「システム状態の測定」が要求されています。
(2)CISPR13から、下の測定項目を追加
・放送用受信機の①チューナポート入力電圧測定、および②ビデオ変調出力電圧測定です。
(3)1GHzまでのエミッション測定距離は2パターン
3mと10mの測定を許容値があります。
(4)1G-6GHzのエミッション測定を追加
(5)有線ネットワークポートの伝導妨害測定を追加。
(CISPR22の通信ポートの伝導妨害のこと。)
尚、受信機のチューナポート、及びアンテナポートの伝導妨害測定も要求されている。


2.クラス分け(住宅環境使用、及び、それ以外での使用)

①住宅環境で主に使用することを意図している製品はクラスB。
②それ以外はクラスAになる。


3.複数の測定法が規定されている場合の選択

・そのどれかの測定法で適合すればよいようです。
尚、再試験の場合はその選択した測定で行わなければならない。


4.試験時のモニタ機器の表示内容

・複雑度によって4つのパターンが規定されています。


5.EMCテストレポートに記載すべき内容は
・「付属書のF」に参考として記載されています。


6.試験ポートの構成が定義されています。
・下図の様に①~⑨のポートで試験し、許容値が規定されています。
図.試験ポートの構成が定義


7.許容値の値はどこに記載しているのか


・付属書Aの「表」に規定されています。
・許容値は以下です。
①エンクロージャーポート:表A.2,表A.3,表A.4,表A.5,表A.6,表A.7
②AC電源ポート:表A.8,表A.9
③DC電源ポート:要求なし
④有線通信ポート:表A.10,表A.11
⑤信号・制御ポート:要求なし
⑥アンテナポート:表A.10,表A.11
⑦放送受信機チューナポート:表A.12
⑧RFモジュール出力ポート:表A.12
⑨光ファイバーポート:表A.11


8.許容値のまとめ


(1)放射エミッション
①-1.クラスA機器:30-1000MHz
表.①-1.クラスA機器
①-2.クラスA機器:1-6GHz
表.①-2.クラスA機器
②-1.クラスB機器:30-1000MHz
表.②-1.クラスB機器
②-2.クラスB機器:1-6GHz
表.②-2.クラスB機器
③FM受信機
表.③FM受信機
(2)伝導エミッション
①クラスA機器:適用ポート;AC電源
表.①クラスA機器
②クラスB機器:適用ポート;AC電源
表.②クラスB機器
③クラスA機器-非対称モード:適用ポート;有線ネットワーク、光ファイバ、アンテナ
表.③クラスA機器-非対称モード
④クラスB機器-非対称モード:適用ポート;有線ネットワーク、光ファイバ、アンテナ、放送受信チューナ
表.④クラスB機器-非対称モート
⑤クラスB機器-差動電圧:適用ポート;TV放送受信チューナ、RF変調器出力、FM放送受信チューナ
表.⑤クラスB機器-差動電圧


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