製品安全の保護手段(MOP)又はセーフガードとは何か!!

1.保護手段(MOP)とは何か


・危害を引き起こすハザードに対する適切な保護手段(MOP)を実現するには、「正常状態と異常状態の両方」で製品に関連する既知の予測可能なハザードについて、全部を識別する必要があります。
・尚、MOP(保護手段)という用語は、一部の新規格(IEC 62368-1)で「セーフガード」という用語に置き換えられています。
・IEC62368-1のセーフガードとは、容認できない危害のリスク(痛み、怪我による死亡、財産や環境の損傷)の可能性を減らすために、物理的な部品またはシステムまたは指示による保護のことです。
・又、医療機器規格(IEC 60601-1)では、MOPを、感電の危険性のみによる容認できない危害のリスクを低減する手段として定義しています。
・絶縁で分離する必要がある箇所がある場合には、1つの保護手段(基礎絶縁)または2つの保護手段(強化絶縁)を備える必要があります。


*MOP(保護手段)は、各種のハザードカテゴリの「非危険区域と危険区域」のあらゆる種類のハザードを分離するために使用する。


次のようなことです。
・危険な状況を引き起こす可能性のあるエネルギーの①レベルを下げる、②伝搬速度を遅くする、または③方向を変更する
・危険な状況の原因を切断、中断、または無効化する。
・危険な状況の原因と、保護が必要な人間との間に障壁を設置する
・危険な状況の発生源の箇所へのアクセスを制限する


*規格で適合性を確認する
・完全な保護は不可能なため、最良の安全対策は、人を保護することが優先される合理的で、かつ十分に考え抜かれた妥協点を見つけることになる。

・そして、製品に提供するMOPは、対象部分が規格等で指定された試験に適合しているかどうかで推定する。


2.感電に対する保護手段は何を行う


・感電に対するMOPは、充電部との直接接触および間接接触に対して、設置する必要がある。
・それらは、固体絶縁体、危険場所と非危険エリアの間の間隔(空間距離と沿面距離)、保護接地接続、保護コンポーネント(インピーダンス、過電流保護デバイス、安全インターロック等)、バリアおよびエンクロージャーで構成または実現する。 又、危険区域へのアクセス、設置手順、危険区域の警告マーク、および保護具(危険電圧に対する手袋の耐性)で行う。


3.機械的危険に対する保護手段(MOP)とは何か


・機械的危険に対する保護手段は、障壁(カバー、ガード)、圧力逃がし弁、安全キャッチとインターロック、鋭利な角と角の丸み、設置手順、危険なエリアへのアクセスに関する警告マーク、および保護具(例:耐衝撃性ゴーグル、顔面シールド、耳栓)です。


4.放射線(イオン化および非イオン化)ハザードに対する保護手段とは何か。


・放射線に対する保護手段は、放射線源のスクリーニング、放射線の制限を行う保護コンポーネント、放射線エリアへのアクセスを制限する安全インターロック、設置手順、放射線エリアに関する警告、および保護具(安全眼鏡)等です。


5.熱(熱および火災)ハザードに対する保護手段とは何か


熱的危険に対する保護手段は、可燃性部品からの潜在的な発火源の絶縁(分離)(巻線の過負荷、接触不良、短絡、およびアーク放電)、適切な可燃性成分(例えば、 現在の保護装置、熱遮断装置および温度制限装置)、潜在的な高温部品の警告マーク、設置説明書、および保護具(手袋や特殊な衣服)等です。


6.生物学的ハザードに対する保護手段とは何か


・生物学的危険に対する保護手段は、人体と接触する部品のIS0 10993規格に適合した生体適合性材料、潜在的な生物学的危険領域の警告表示、および保護具(手袋や特別な衣服など)等です。


7.化学的危険に対する保護手段とは何か


・化学的危険に対するMOPは、危険な物質を含む容器の分離と密閉、危険な場所へのアクセスに関する警告マーク、設置指示書、および保護具(手袋、特別な衣服、耐薬品性ゴーグルおよび顔面シールド)等です。


 

製品に該当する「LVD指令とEMC指令」の規格をどのように調べるのか!

*機器又は部品により、「製品安全、及びEMC」の整合規格等は異なります。


*該当する規格の選定の仕方


*まず、(1)整合規格リスト、IEC規格などの表題で、該当しそうな規格を選定します。
*次に、(2)それぞれのEN規格、又はIEC、ISO、CISPR規格の「スコープ」に記載されている対象製品の範囲で確認します。


*主な製品のIEC規格の該当規格の一覧


・電気電子機器のIEC規格一覧表
主な製品の該当規格の一覧表
・尚、上表のごとく、電気電子機器だけでなく、電気電子製品に組込まれるモータ、トランスなどの重要安全部品も、該当規格への適合が必要です。
・即ち、製品全体が適切なIEC規格に準拠した製品を製造しなければなりません。


製品の設計時点で規格の要求内容を的確に盛り込みしよう!


・規格の解説、または規格への適合設計をサポートしております。
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