*無線機器指令の3.1(b)要求されている共通EMC規格「ETSI EN 301 489-1」は、用途により、試験項目が異なる。
・無線機器のEMC試験のテストプラン作成時にチェックしよう。
・以下の表のごとくです。
IoT とは、従来インターネットに接続されていなかった様々なモノ(センサー機器、駆動装置(アクチュエーター)、住宅・建物、車、家電製品、電子機器など)が、ネットワークを通じてサーバーやクラウドサービスに接続され、相互に情報交換ができる仕組みです。
*無線機器指令の3.1(b)要求されている共通EMC規格「ETSI EN 301 489-1」は、用途により、試験項目が異なる。
・無線機器のEMC試験のテストプラン作成時にチェックしよう。
・以下の表のごとくです。
*RED(無線機器指令)では、認証手順は3つの選択がある。
・手順はRED指令の付属書II,III,IVに記載されている。
図.無線機器指令の認証手順の選択:(1)~(3)
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・上図のように、多くの無線機器(低電力短距離デバイスは当然)の場合、付属書II(モジュールA)による、①REDに従った内部生産管理と②各機器の該当する整合規格の試験要求に基づいて行えば、「製造者の自己宣言(自己認証)」が可能です。
・LVD(3.1(a))及びEMC(3.1(b))は上図のごとく、自己宣言です。
*参考:低電力短距離デバイスにおける無線スペクロラムの整合規格の例を下に示す。
・ETSI EN 300 220- :Garage door openers, remote keyless entry
・ETSI EN 300 330- :①9kHzから25MHzーShort Range Device,②9kHzから30MHzーRadio Frequency Identification (RFID), Near Field Communication (NFC) and Electronic Article Surveillance (EAS)
・ETSI EN 300 440- :RC Toys and RFID
・ETSI EN 300 328- (2.4GHz wideband Tx/Rx) :WiFi 802.11b/g/n, Bluetooth, Zigbee
・ETSI EN 301 893- (5GHz wideband Tx/Rx) :WiFi 802.11 a/n/ac
*モバイル機器では、リチウムイオン電池を搭載した機器が多いので、「安全を確保するための保護方策」が必須になります。
・又、IoT機器においてもリチウムイオン電池を使用する機器は非常に多くなっています。それにともおなって、発火や発熱などの事故が多くなっています。(欧州、RAPEXサイト2020年度で、A社ノートPCのバッテリ過熱事故でリコールが公表されています。)
そこで、この電池を「安全に使用するための保護する方策」が必要になります。
*主な安全保護方策は以下のようです。
1.使用する電池自身に保護機能がある。
・電池自体が電池規格に適合していること。
・具体的には下のような安全性確保対策
a)熱(温度)ヒューズ
b)内圧上昇で作動する安全弁
C)ポリエチレン系セパレータ使用の場合、約125℃の融点を超えると閉孔し電流を遮断する自己機能
2.電池を搭載する側での保護方策
(1)充電電圧と充電電流を使用する電池特性に合わせて充電制御する。
(2)指定最高充電温度を超えた時は,充電を停止する 。
(3)電池の温度が指定最低充電温度未満になっている場合は,電池の指定電流値に制限して充電する。
(4)リチウム二次電池は,防火用エンクロージャを備える。
(5)持ち運び機器では落下でも異常が起きない構造にする。
(6)電池がショートしない構造。
3.電池パック、充電器での保護方策
(1)温度異常検出
(2)過充電防止
(3)過放電防止
(4)過大電流保護回路及び切断回路(ヒューズ)
*参考:
(1)リチウムイオン電池故障の大半の内部短絡の要因
・高電流での充電、または低温下の高電流での充電・放電、または過充電、過充電の繰返し
・電極部への鉄粉や鉄粒子の混入
・腐食やセパレータ、シール等の劣化
(2)その他のトラブル要因
・製造不良
・極端な誤使用
・取付ミス
・落下や外部での短絡
・設計不良
参考資料:IEC62368-1、附属書M
*近年、欧州に各種機器を輸出する場合に、IoT化(内部に無線回路を搭載)の機器が多くなっています。
(例:計測したデータをLAN経由インターネット、又はスマホに送るため)
*無線回路(WiFi,ブルーツゥースなど)を搭載すると、この機器は無線機器指令(RED)の該当になります。その結果、該当する指令が下図(IoT化による該当指令の増加)のようになる。
・該当指令、整合規格などの見直しが必要になります。
図.IoT化による該当指令の増加
*計測・制御・試験室用機器の場合の例で説明します。
図. 計測器のWiFi,ブルーツゥースなどによるIoT化でREDに該当する
1.無線回路搭載なし計測器等の場合
1.1 計測器に該当する指令
(1)EMC指令
(2)LVD指令
(3)RoHS指令
(4)WEEE指令
1.2 上記1.1の指令の整合規格
・EMC指令:EN 61326-1
・LVD指令:EN 61010-1
・RoHS指令:EN IEC 63000
・WEEE指令:EN 50419(ゴミ箱に×マーク)と届け出/報告など。
2.無線回路(ブルーツゥース等)を搭載した計測器等の場合
2.1 無線回路を搭載した機器の該当指令
(1)RED(無線機器)指令
・①無線スペクロラム要求
・②REDの3.1.b)EMC要求(ETSI規格)
(2)製品安全要求(低電圧指令):REDの3.1(a)の安全要求
(3)EMC指令
(4)RoHS指令
(5)WEEE指令
2.2 上記2.1(1)の整合規格
(1) RED指令:無線スペクトラムの規格
固有の無線機能関連の整合規格があるので、これらを選択する。
a) ETSI EN 300 328 : 2.4GHz wideband Tx/Rx: Wifi 802.11 b/b/n, Blutooth, Zigbee
b) ETSI EN 301 893 : 5GHz Wideband Tx/Rx: WiFi 802.11 a/n/ac
c) ETSI EN 300 220 : Garage door openers, remote keyless entry
d) ETSI EN 300 330 : Theft protection sensors, NFC(Near Field Communicatio)
e) ETSI EN 300-440 : RC Toys, RFID
(2) RED指令の3.1(b)無線機器のEMC要求⇒ 注)EMC指令の製品カテゴリのEMC規格とは別である。
① RED共通のEMC規格(参考:ETSI EN 301 489-1 V2.2.3の体系)
・ETSI EN 301 489-1 イミュニティ試験:RED要求の共通EMC規格
②各無線方式固有のEMC要求規格
・ETSI EN 301 489-3 : Short Range Devices
・ETSI EN 301 489-17 : Broadband Wireless
・ETSI EN 301 489-33 : Ultra Wide Band
・ETSI EN 301 489-52 : Mobile phones
(3)EMC指令: 製品カテゴリのEMC規格
・EN 61326-1 : 計測・制御・試験室用機器の製品EMC
(4) RED指令の3.1(a)Safety要求⇒LVD指令(0vから適用になる)
・EN 61010-1 計測・制御・試験室用機器の製品安全規格
・注:REDの安全要求は0Vからであるため、LVD指令のAC50V以上等の入力電圧範囲に関係なく、適用となる!
(4)RoHS指令:EN IEC 63000
(5)WEEE指令:EN 50419(ゴミ箱に×マーク)と届け出/報告など
備考:人体暴露(EMF)規格「EN62479」について
・無線回路が搭載されている機器では人体に対する電磁波の暴露規格(EN/IEC 62479)に適合も必須です。
尚、無線回路のPmaxが「一般人:20mW以下、職業者:100mW以下」ならば、適合になります。
・「EN62479」はLVD指令の整合規格です。
・図.EMF(electromagnetic field)