IEC 61010-1で要求されているリスクアセスメントの方法!

*計測、制御、研究室用機器の製品安全規格(IEC 61010-1:2010)の3版には、17章にリスクアセスメントの要求が追加されました。


*このリスクアセスメントの方法について、IEC61010-1規格に記載されている方法の説明をします。
・この規格のリスクアセスメント方法は、他の電気・電子機器の「リスクアセスメント」として、利用できる方法(マトリックス法)です。


*IEC 61010-1規格のリスクアセスメント要求、および関連規定の記載場所はどこか。
・この要求は、「第17条および附属書J」に、要求事項、およびガイダンスを記載しています。


1.リスクアセスメント(マトリックス法)のながれ


・下図のようなフローになります。尚、対象機器によって、危険源のレベルは違うので、その機器における全危険源に洗い出して、各危険源ごとに、リスクアセスメントを実施します。
事前検討&準備


電気電子機器のリスクアセスメントの流れ
図1 リスクアセスメントのフロー


2.事前検討・準備


*リスクアセスメントを実施する方法を決めて、リスクアセスメントの事前準備を行う。
・IEC61010-1の「附属書J」による方法(マトリックス法)を採用し、見積り、評価、受容レベルを規定する。
(1)見積り、および評価のための、基準を明確化する。
a)各危険源リスクの「傷害の厳しさ」を決める。
人、設備、環境等に対する障害の厳しさを決める。
表1.「障害の厳しさ」(例)表1.「障害の厳しさ」(例)

b)各危険源リスクの「発生度合」を決める。
表2 「発生度合」(例)表2 「発生度合」(例)

C)受容のレベルを決める。
前記a),とb)の両方による「障害の受容レベル」を決める。
表3「障害の受容レベル」決定(例)
表3「障害の受容レベル」決定(例)


3.リスクアセスメント実施


(1)機器のリスク現象を洗い出す。
・この時に「意図する使用の制限内での危険源」、及び「予見可能な誤使用」など、危険リスクを淡い出します。(通常と誤使用の2つの状況)
・機器の出荷から破棄までの全ライフサイクルについて行うこと。
(2)機器に「潜在する全危険リスク」のリスクアセスメント実施
その後は、対象機器の全危険現象について、上図1にそって、(1)危険源の特定、(2)リスク見積り:「傷害の厳しさ(表1)」、「発生度合(表2)」の選定、(3)リスク評価「傷害の受容レベル」
(3)受容できない場合
リスク評価で受容不可のレベルの場合は、図1のごとく、リスク低減対策を実施し、再度、リスク見積り、リスク評価を実施する。尚、リスク評価で受容可能レベルまで、リスク低減の対策を繰り返します。


4.文書化と保管


製品に潜在する「全てのリスクが受容可能レベル」に達したら、リスクアセスメントを文書として残さなければなりません。
・下の内容で文書化する。
a)機器の限界(範囲)の決定
・仕様、限界、意図する使用目的等
・前提条件(例えば負荷、強さ、安全係数)
b)危険源の同定
①危険状況の識別
②評価の際に検討した危険事象
c)リスク評価の基になった情報
①使用したデータおよび情報源
(事故歴、同様の機器から得られる経験)
②使用されるデータおよびリスク評価への影響に伴う不確実性
d)保護対策によって達成すべき目標
・許容できるレベルを記載
e)保護手段   排除した危険、およびそのリスクを軽減に実施した方策
f)残留リスクとその方策
・機器に警報機能を設置
・機器に警告表示
・取扱説明書に記載


*参考:本規格(IEC 61010-1:2010)のJIS規格(JIS C1010-1:2014)が発行されています。
 下のURLから閲覧できます。
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