製品安全規格の漏れ電流の種類と試験方法について!

*漏れ電流試験は製品安全では重要な試験項目のひとつです。
・即ち、感電の危険性に関係します。


・保護導体電流(接地漏れ電流)またはタッチ電流は、内部の危険電源部とアクセス可能な部位間の不十分な絶縁、または不適切なグランディングのために、人が機器へのアクセスできる部分に存在する危険な漏れ電流のことです。


*漏れ電流は次のように①、②、③、④に4つに分類される。


①保護導体電流(接地漏れ電流):
・IEC 60601-1規格で、「主電源部品から絶縁体を通ってまたは絶縁体を横切って保護接地導体または機能接地接続線に流れる電流」として定義されている。
②タッチ電流(接触電流)、またはエンクロージャの漏れ電流:
・IEC 60990規格で「設置または機器の1つまたは複数のアクセス可能な部分に触れるときの人体または動物の身体を通る電流」として定義されている。
③患者漏れ電流(医療用電気機器規格のみ)
・IEC 60601-1規格で「患者接続から患者を経由してアースに流れる電流」として定義されている。
④患者測定電流(医療用電気機器規格のみ)
・IEC 60601-1規格で正常な使用時に,患者を介してある患者接続部と他のあらゆる患者接続部との間に流す生理的な効果を意図しない電流として定義されている。


*製品安全規格により、漏れ電流の項目、限度値、試験法が異なる。
・下表にようにさまざまです。従って、各規格をよく理解する必要があります。
表.製品安全規格と漏れ電流


・上記のこれらの漏れ電流は、主電源で動作する電気機器で発生し、機器に接触する人(ユーザー、オペレーター、サービスプロバイダーなど)の「感電の危険」となる。


*下のような場合は、漏れ電流の値が大きくなる可能性がある。


・不適切な接地または機器の設置、・機器の絶縁材の経年劣化および劣化、破損した部品)。
・許容値よりも大きい漏れ電流が発生している機器は、人体に感電の危険をもたらすので、許容値以下に低減して、感電のリスクを低減する必要がある。


*漏れ電流の存在によって発生する感電から使用者を保護の状態を確認するために、試験を行います。


・この試験では、特定のテスターを使用してタッチ電流/保護接地電流/漏れ電流試験を実行します。
・漏れ電流の試験は、「定格電圧の上限と、最高周波数」で試験する必要があります。


*漏れ電流の増加の原因となる部品


・アースおよびタッチリーク電流の増加に直接関係する部品(RFフィルターなど)があります。
・これらの部品を選択する場合、それらの部品の漏れ電流定格は注意して選択する必要がある。


*参考文献
・IEC 60990:2016(タッチ電流と保護導体電流の測定方法)

製品安全の保護手段(MOP)又はセーフガードとは何か!!

1.保護手段(MOP)とは何か


・危害を引き起こすハザードに対する適切な保護手段(MOP)を実現するには、「正常状態と異常状態の両方」で製品に関連する既知の予測可能なハザードについて、全部を識別する必要があります。
・尚、MOP(保護手段)という用語は、一部の新規格(IEC 62368-1)で「セーフガード」という用語に置き換えられています。
・IEC62368-1のセーフガードとは、容認できない危害のリスク(痛み、怪我による死亡、財産や環境の損傷)の可能性を減らすために、物理的な部品またはシステムまたは指示による保護のことです。
・又、医療機器規格(IEC 60601-1)では、MOPを、感電の危険性のみによる容認できない危害のリスクを低減する手段として定義しています。
・絶縁で分離する必要がある箇所がある場合には、1つの保護手段(基礎絶縁)または2つの保護手段(強化絶縁)を備える必要があります。


*MOP(保護手段)は、各種のハザードカテゴリの「非危険区域と危険区域」のあらゆる種類のハザードを分離するために使用する。


次のようなことです。
・危険な状況を引き起こす可能性のあるエネルギーの①レベルを下げる、②伝搬速度を遅くする、または③方向を変更する
・危険な状況の原因を切断、中断、または無効化する。
・危険な状況の原因と、保護が必要な人間との間に障壁を設置する
・危険な状況の発生源の箇所へのアクセスを制限する


*規格で適合性を確認する
・完全な保護は不可能なため、最良の安全対策は、人を保護することが優先される合理的で、かつ十分に考え抜かれた妥協点を見つけることになる。

・そして、製品に提供するMOPは、対象部分が規格等で指定された試験に適合しているかどうかで推定する。


2.感電に対する保護手段は何を行う


・感電に対するMOPは、充電部との直接接触および間接接触に対して、設置する必要がある。
・それらは、固体絶縁体、危険場所と非危険エリアの間の間隔(空間距離と沿面距離)、保護接地接続、保護コンポーネント(インピーダンス、過電流保護デバイス、安全インターロック等)、バリアおよびエンクロージャーで構成または実現する。 又、危険区域へのアクセス、設置手順、危険区域の警告マーク、および保護具(危険電圧に対する手袋の耐性)で行う。


3.機械的危険に対する保護手段(MOP)とは何か


・機械的危険に対する保護手段は、障壁(カバー、ガード)、圧力逃がし弁、安全キャッチとインターロック、鋭利な角と角の丸み、設置手順、危険なエリアへのアクセスに関する警告マーク、および保護具(例:耐衝撃性ゴーグル、顔面シールド、耳栓)です。


4.放射線(イオン化および非イオン化)ハザードに対する保護手段とは何か。


・放射線に対する保護手段は、放射線源のスクリーニング、放射線の制限を行う保護コンポーネント、放射線エリアへのアクセスを制限する安全インターロック、設置手順、放射線エリアに関する警告、および保護具(安全眼鏡)等です。


5.熱(熱および火災)ハザードに対する保護手段とは何か


熱的危険に対する保護手段は、可燃性部品からの潜在的な発火源の絶縁(分離)(巻線の過負荷、接触不良、短絡、およびアーク放電)、適切な可燃性成分(例えば、 現在の保護装置、熱遮断装置および温度制限装置)、潜在的な高温部品の警告マーク、設置説明書、および保護具(手袋や特殊な衣服)等です。


6.生物学的ハザードに対する保護手段とは何か


・生物学的危険に対する保護手段は、人体と接触する部品のIS0 10993規格に適合した生体適合性材料、潜在的な生物学的危険領域の警告表示、および保護具(手袋や特別な衣服など)等です。


7.化学的危険に対する保護手段とは何か


・化学的危険に対するMOPは、危険な物質を含む容器の分離と密閉、危険な場所へのアクセスに関する警告マーク、設置指示書、および保護具(手袋、特別な衣服、耐薬品性ゴーグルおよび顔面シールド)等です。


 

AV/情報通信機器の安全規格(IEC 62368-1)の概要とIEC60950との違い!

*2020年12月20日以降、AV/情報通信機器は欧州、および米国では適合すべき規格がEN/IEC 62368-1に変更になります。
・EN60950-1(IT)、及びEN60065(AV)は破棄されます。
・従って、このEN62368-1規格への対応が必須になります。


1.IEC 60368-1の概要


*IEC 62368-1規格は、「IEC 60950-1とIEC 60065の規格の単なる合併ではない」
・即ち、全く、違う構成であり、テストレポートも違う様式です。

このため、再評価/試験が必要になります。
・試験内容が「規格の本体部分だけではなく、附属書にも、要求事項がかなりあるので、理解するのに、時間が掛かる。
・この規格では、新しく採用された用語があり、この用語の理解が必要になる。
・電源装置やファンなどのコンポーネントやサブアセンブリもこの規格に適合した認証が必要になる。


2.本規格(HESE)の考え方


・このIEC62368-1は危険性に基づく標準工学(HBSE)の原則に基づいて作成されたものです。HBSEでの安全性は製品に依存しているのではなく、機器内のエネルギーに基づいているという考え方が原則となっています。
・尚、リスクアセスメントによる考え方ではなく、特有なものです。
・下図はIEC 62368-1での考え方(概念)による、1~4の概念の流れです。
・但し、あくまで、本規格の概念を説明しているだけである。どんな種類の人が使用するのか、機器にどの程度の危険レベルかを特定すれば、実際の試験は、できます。

図.本規格(HESE)の考え方


3.IEC60950-1との主な相違点


・下表のように、IEC62368-1の要求内容はIEC60950規格と色々と異なつており、又、テストレポート様式も違うので、再試験が必要になります。
(尚、下表(相違点)はあくまで。主な一般的なものです。すべてではありません。)
表.IEC60950-1とIEC62368-1の主な違い


*試験の時間はIEC60950より、多く掛かる


・IEC62368-1では、試験モードの3つ(通常、異常、単一故障)が附属書Bで明確に規定された。
・試験時間が増えるようです。(1.5~2倍)


*規格の理解と早期の試験での確認が大切です。


*結局、IEC62368-1とIEC60950は別の規格として考えた方がよい。
・従って、IEC 62368-1への対応を、すぐに、始めることをお勧めします。


*「お問合せ