*米国に産業用電気設備を輸出する場合に、適合のUL規格として、UL 508 と UL 508Aがあります。
このUL 508 と UL 508Aの適用範囲と要点は以下です。
1.適用範囲の違い
(1) UL 508
⇒「産業用制御機器(Industrial Control Equipment)」の部品や単体機器の規格
(2)UL 508A
⇒「産業用制御盤(Industrial Control Panels)」全体の規格
2. 具体的な違いと要点
(1) UL 508: Industrial Control Equipment (産業用制御機器)
a) UL 508 は、主にモーターの始動、停止、調整、制御、保護を行うための個々の産業用制御機器に適用される規格です。
これは、最終製品に組み込まれる「コンポーネント(部品)」としての機器の安全性についての規格です。
b) 対象となる主な製品・部品の例:
モーターコントローラ、コンタクタ、モーター起動器 (スターター)
リレー、タイマー、
プッシュボタン、セレクタースイッチ、パイロットライト
フロートスイッチ、フロースイッチ、圧力スイッチ、真空スイッチ
抵抗器、レオスタット、近接スイッチ
プログラマブルロジックコントローラ (PLC)
電源ユニット、UPS (一部)
可変周波数ドライブ (VFD) の一部機能 (尚、VFDそのものは現在UL 61800-5-1が主要)
特定の産業用ヒーターや照明用制御デバイス
c)UL 508の要点:
– この規格では対象の個々の機器が、定められた条件下で安全に機能することを要求します。
– 多くの場合、UL 508の認証は「UL Listed (リスティング)」ではなく、「UL Recognized (レコグナイズド)」として行われます。これは、単体での使用ではなく、より大きなシステム(例えば制御盤)に組み込まれることを前提としているため。
* 内部の絶縁距離、耐電圧、温度上昇、短絡電流耐性などが評価される。
(2) UL 508A: Industrial Control Panels (産業用制御盤)
a) UL 508A は、上記のようなUL 508に準拠した個々の部品やその他の電気部品を組み込み製造される「産業用制御盤(Industrial Control Panel)」全体の安全性規格です。
この制御盤は、工場や機械に設置される最終的な制御盤を対象としている。
b)対象となる主な製品の例:
– 産業機械の制御盤
– ポンプ制御盤
– HVAC(冷暖房空調)システムの制御盤
– コンベアシステムの制御盤
– エレベーター制御盤
– 消防ポンプ制御盤(UL 218が別途参照される)
– 水処理設備の制御盤
c)UL 508Aの要点:
– 部品の選定: 制御盤に使用されるすべての部品が、適切にUL認定されていることを要求する。
- 配線: 盤内の配線のサイズ、種類、絶縁、固定方法、ルーティングに関する詳細な規定がある。
- 保護要求: モーターや回路に対する適切な過電流保護(ブレーカー、ヒューズ)と過負荷保護(オーバーロードリレー)の要件がある。
- 短絡電流定格 (SCCR): 制御盤全体の短絡電流定格を計算し、表示することを義務付けている。
この定格は、盤が短絡故障時に安全に耐えうる最大の電流値を示す。
– エンクロージャ: 盤の筐体(エンクロージャ)の材質、保護等級(IP/NEMA Type)、換気、接地に関する要件がある。
間隔 (Spacings): 活電部と筐体、または異なる電位を持つ部品間の最低空間距離と沿面距離を厳密に規定しています。
表示: 制御盤の定格、製造元、SCCR、適切な過電流保護装置の定格など、必要な情報を盤に表示することを義務付けています。
フィールド配線: 制御盤に外部から接続されるフィールド配線に関する要件も含まれる
*主な違い