EMC認定試験所の公平性リスク分析!

試験所認定規格であるIEC 17025:2017の新版で追加されたリスクベースのアプローチについて一つの例を示します。
改訂内容については次のURLを参照下さい。・試験所認定規格:ISO/IEC 17025の改訂!


(1)不公平につてのリスクを洗い出す。下①~⑬は予想されるシナリオ。
① コンサルティングの提供(例えば、EMIトラブルシューティング)
② 試験所サービスの拡大、及び試験の運営
③ 技術訓練の提供、試験の運営
④ 特定の雇用期間内における試験の実施
⑤ 顧客と試験エンジニアとの親密性
⑥ 有利なテスト結果を要求する財政的圧力
⑦ 有利なテスト結果を要求するその他の圧力
⑧ 試験過程において直接的または間接的に関与する団体または個人との関係
⑨ テストデータの機密性
⑩ 顧客が特定の試験エンジニアを要求する
⑪ テスト記録の改ざん
⑫ 試験所の他の部門の関与によるリスク
⑬ 検査プロセスにおける要員への知覚される圧力/ストレス


(2)リスクの頻度、重大性、分類を設定する。
下表①、②、③を設定する。
①リスクの頻度

②リスクの重大性

③リスクの分類


(3)上記(1)の各種リスク要素を検討して、(2)の①②③により、見積りを行う。


・リスクシナリオの例(コンサルティングの提供)


新ISO/IEC 17025:2017の発行の動画

マルチメディア機器の製品安全規格(IEC 62368-1)の対象機器と規格体系!

*IEC 62368-1規格は、「規格構成、主なポイント」を認識して、規格を見ると理解しやすくなります。


・表題:「オーディオ・ビデオ及び情報通信技術機器」の安全要求事項(Audio/video, information and communication technology equipment – Part 1: Safety requirements)


*主なポイントは以下です。


・適用範囲:「適用の機種例」が附属書Aに記載されている。(下表参照)
・一般要求事項は第4章と附属書
・各危険源リスクへの要求事項を5章~10章に記載
①電気的傷害(5章)
②電気による火災(6章)
③有害物質(7章)
④機械的傷害(8章)
⑤熱による傷害(9章)
⑥放射(10章)
・試験項目と要求内容がIEC 60950-1と大きく異なる。
・試験レポート形式もIEC060950と違う。→再試験要
・「各リスクの限度値」は危険エネルギーの危険レベル(分類)により、異なる。


*対象機器:対象機器の例(附属書A参照)


表.対象機器の例


*IEC 62368-1とIEC 60950-1の体系


(1)IEC 62368-1体系
図.IEC 62368-1体系

(2)IEC 60950-1体系
図.IEC 60950-1体系


*参考情報:JEITAから比較表が公開されている
IEC 62368-1 第 2 版 - IEC 60950-1 第 2 版 Amendment2 対比表


 

「お問合せ」先


・IEC 62368-1などの規格適合のため、コンサルティングをおこなっております。
お気軽に「お問合せ」から、ご連絡下さい

LVD指令等の試験は自社で実施し、CEマーキング費用削減する!


*LVD(低電圧指令)指令では、「自己検証(モジュールA)」が原則になっている。
・(LVDの試験は自社検証でよく、NB(認定試験機関)の関与は必要ない。)
・また、下表のごとく、その他の指令も、自己認証が可能です。
表.EU指令と自己認証の可否
表.EU指令と自己認証の可否


上記のように、自己検証による、CEマーキングの自己宣言ができます。


*自社検証ではLVDの規格試験費用の削減のみならず、対策ノウハウの蓄積ができます。
・最初の試験では試験方法を理解しなければなりませんが、「以後の製品の試験は容易に試験できる」ようになり、「試験費用は大幅に削減」できます。

・更に、LVDの規格内容も理解でき、製品への「規格対応ノウハウの蓄積ができます」。
図.自己認証の過程と効果
図.自己認証の過程と効果


*ご参考:LVD試験の例


(1)IEC 61010-1規格の体系
・LVD試験の計測・制御・研究室用機器の規格はEN/IEC61010-1です。
この規格の体系は下図のようになっています。
主に試験に関係する項目は、保護要求(6~15項)になります。


(2)試験機器が必要な試験項目
・特に測定が必要な試験項目は「電気関係と温度関係」の測定が主です。その他の項目は測定器を使用しない目視等による検査がほとんどです。
・電気、温度の試験には上記の電気と温度関係の計測器を揃えるか、又、不足分はレンタル等で借りることで、対応できます。


(3)試験機器の導入費用
・電源入力が16A以下の場合、EMC試験設備(数億以上)と比べて、非常に安く(約3百万程度)設置できます。
・又は、必要に応じて、試験機器をレンタルして、試験することも可能です。


(4)テストレポートの作成
・自社にて、テストレポートのテンプレートを作成する。
・又は、テストレポート様式はIECから購入して、利用できます。


(5)自社認証の効果(試験費用削減、開発期間短縮、ノウハウ蓄積など)
・「自社で試験を行うのメリット」は、要求事項、試験方法の習得による、「製品安全の対応設計」のノウハウを蓄積できます。
・試験所の予約・待ち時間等に左右されなくなど
「開発期間の短縮」が図れます。
自己認証の効果


*関連URL
 ・LVD指令のサイト.


「お問合せ」
・CEマーキングをサポートしております。
お気軽に「お問合せ」ページから、ご連絡下さい


 

EMC指令の新ガイドを発行!

2018年3月12日付けで、EMC指令(2014/2014/30/EU)のガイドが発行されました。


・欧州向けの電気電子製品のEMC指令適合についての、参考となる情報(文書)ですので、参照することを推奨します。
主なポンイントを列記します。
*4章には適合評価の手順について記載されています。特に下図1(EMC指令の評価の流れ)の流れが参考になります。

*下図2(EMC指令の適用可否フロー図)一般製品、組込み品、及び固定設備の分類、それぞれが実施すべき内容が分かります。
*ダウンロードURL:Guide for the EMCD (2014/30/EU)


(1)目次
1 範囲
 1.1 一般
1.2 地理的適用
1.2.1 非EU諸国、国および地域における適用
1.2.2 相互承認協定(MRA)
1.2.3 適合性評価と合意(ACAAs)に関する合意
1.3 市場投入、サービス開始
1.3.1 市場投入
1.3.2 サービス開始
1.3.3 見本市等での機器に関する特別措置
1.4 機器および製品
1.4.1 電気、電子部品のない機器
1.4.2 EMC指令の除外品
1.4.4 本質的に良性の装置
1.4.5 カスタム構築の評価キット
1.4.6 装置または固定設備としての分類
1.5 装置の範囲の定義
1.5.1 完成した装置(アプライアンス)
1.5.2 組み合わせ完成製品
1.5.3 部品・サブアセンブリ
1.5.4 モバイルインストール
1.6 固定設備の適用の定義
1.6.1 固定設備設置
1.6.2 固定設備のための特定の装置
1.7 特定の場合:ジャマー
2 必須要求事項
3 経済事業者の義務
4 装置の適合性評価の手順
4.1 前書き
4.2 リスク分析とリスクアセスメント
4.3 EMC評価
4.3.1 一般概念
4.3.2 ENC整合規格の使用
4.3.3 該当する適用整合規格がない製品のEMC評価
4.4 EMC指令で必要な文書
4.4.1 技術文書
4.4.2 EU適合宣言書
4.5 CEマーキングと情報
4.5.1 CEマーキング
4.5.2 識別情報
4.5.3 トレーサビリティに関する情報
4.5.4 装置の使用に関する情報
4.5.5 住宅地域において必須要件の適合が確保されない場合の情報
5 固定設備
5.1 必須要求事項
5.2 文書
5.3 固定設備の責任者
5.4 所定の固定設備に対する特定の装置の要件
5.4.1 特定の装置に免除条項が使用されている場合の義務
6 EMCDの市場監視
7 通知機関(NB)
7.1 前書き
7.2 外注
7.3 情報交換
7.4 通知機関(NB)間の調整
7.5 NBが提供するサービスに関する苦情
付属書1 全体フローチャート
付属書2 整合規格の使用に関するガイド
附属書3 該当の規格が存在しないか、完全に該当しない場合のEMC評価
付属書4 指令2014/53 / EU、2014/35 / EUおよび2014/30 / EUの適用
付属書5 頭字語および略語
付属書6 組織と委員会


(2) 図1.EMC指令の評価の流れ
対象製品が該当する整合規格が「ある、一部ある、ない」により、評価が下図のように異なります。

・「該当する整合規格がない場合のEMC評価」については4.3.3に記載されています。


(3)文書の作成についての要求
・「作成しなければならないEU適合宣言書と技術文書」について以下の節に記載されています。
- 1.4.1 技術文書
- 1.4.2 EU適合宣言書


(4) 図2.EMC指令の適用可否フロー図(一般製品、組込み品、及び固定設備で実施すべき内容)

米国、FCCの無線機器規制の変更の概要!

*2017年11月初旬に、米国、FCCの無線機器規制は大きく変更されています。


以下に列記します。
(1)供給者の適合宣言:47 CFR Section 2.906
・2017年11月初旬、以前の①DoCと②検証の手続きは廃止され、SDoCに統合されています。
・Part 15Bの 放射を意図しない機器、およびPart 18の機器だけがSDoC(自己適合宣言)を使用できます。
・Part 15の意図的な放射体、及び免許制の送信機はすべて「機器認証」プロセスの対象です。
(2)機器認証
・2017年7月13日以降、認証機器はすべてFCC承認された認定試験所で試験される必要があります。
・責任当事者(製造業者や輸入者)から提出された申請およびテストデータに基づいて、認定されたTCB(電気通信認証機関)により認定されます。
・認証の申請用として提出されたすべての認定機器の技術パラメータおよびその他の記述情報は、委員会が管理する公開データベースに掲載されている。
(3)責任当事者
(a) 認証の付与が必要な機器については、認証を付与された者(責任当事者)が機器に適用される規格準拠の責任を負う。
(b)供給者の適合宣言の対象となる機器の責任当事者は、米国に在住している必要があります(§2.1077を参照のこと)
そして、次のものが責任当事者となります。
①製造業者あるいは、機器の各コンポーネント部品の組立て者
②機器あるいはシステムを輸入する場合の輸入者
③小売業者あるいは機器のオリジナルの製造業者との契約を結んだ者
④米国に在住している
(4)SDoC ラベリング
(a) 供給者の適合宣言(SDoC )のみの対象となる機器は、合衆国内でのマーケティングや輸入を行う当事者により一意に識別されること。ただし、識別情報は、承認された機器で要求されるFCC IDと混同される可能性のある形式であってはならない。
責任当事者は各デバイスの識別が容易であるような識別記録を保持すること。
(b) 供給者の適合宣言の承認対象機器は、適用されるFCC要件に準拠することを視覚的に示すため、次のロゴを自主的にラベリングできる。
図.FCCラベル
(5)意図しない放射体の機器認証(新規) SDoCのみが対象 §15.101
a)SDoCのみの対象となる機器は、米国内でのマーケティングや輸入を行う当事者により一意に識別されること…責任当事者は各デバイスの識別が容易であるような識別記録を保持すること。
b) SDoC認証の対象となるデバイスは、適用されるFCC要件に準拠することを視覚的に示すためFCC ロゴを自主的にラベリングすることができる。
参考:表.機器タイプにより認証/SDoCが異なる
表.機器タイプにより認証/SDoCが異なる

ICT(情報処理装置)のEMI規格:EN 55032の1GHz試験可否!

*欧州、EMC指令の情報処理機器(AV/ICT)のエミッション規格であるEN 55032:2012が2017年3月5日から、強制になっています。


・メーカ様より、EN 55032の放射エミッション(EMI)について「1GHz以上の試験の可否」についてお問合せがありました。


「1GHz以上試験の可否」はこの機器のクロック、又は信号等の最高周波数が何MHzなのかで、以下の①~⑤のごとく、試験範囲が異なります。
①装置内の最高周波数(Fx) ≦ 108MHzの場合: 30M~1GHzまで
②108MHz<装置内の最高周波数(Fx)≦ 500MHzの場合: 30M~2GHzまで
③500MHz<装置内の最高周波数(Fx)≦ 1GHzの場合: 30M~5GHzまで
④装置内の最高周波数(Fx)> 1GHzの場合: 30M~5×FxGHzまで(最大6MHz)
装置内の最高周波数(Fx)が不明な場合: 30M~6GHzまで


(参考)AV/ICT機器のEMC整合規格(2018/3/17時点
①エミッション(EMI):EN 55032:2012
②イミュニティ (EMS):EN 55024:2010
・尚2022年7月28日からは②はEN 55035:2017が強制になります。


一般商用コンセントから電源を供給されるAV/ICT機器ではさらに③、④への適合が必要になります。
③高調波エミッション EN 61000-3-2:2014
④ 電圧変動&フリッカ EN 61000-3-3:2013


*参考:EN 55032:2017の体系図
EN 55035:2017体系


 

CEマーキングのLVD適合性を簡易チェックすることが一番目です!

 *欧米はもちろん、多くの国でIEC規格に元に、規格化されています。したがって、色々な国に製品を輸出する場合、まず、IEC規格に適合することが必須になります。


*そのためには、開発製品が第一に、IEC規格に適合できる可能性を簡易チェックで確認することが有効です。
・この簡易チェックを行うことで、受験時の不適合による大幅な設計変更を減らすことができ、開発期間、と試験費用等の抑制ができます。


・第一にチェックすべきポイントは以下です。
1.筐体関係
・開口部の大きさ
・筐体アースの仕方、マーク表示
・表示(定格、LED表示色等、警告表示)
2.部品の規格適合
・一次側部品(コネクタ、スィッチ等)
・保護機能部品(ユーズ)
・モータ(ファン含む)
・電池(リチウム電池等)
3.プラスチック部品の難燃性
4.ノイズ部品の使用
など


*安全設計チェックリスト
・実用資料のページには、「安全設計チェックリスト」がありますので、ご利用下さい。


IEC

CEマーキングの重要な情報が得られる、EU公式WEBサイト!

*CEマーキングの重要な情報が公表されているWEBサイトがありますので紹介します。


・主なCEマーキングのWEBサイトを列記します。
1.CEマーキングの総合サイト
・欧州委員会のCEマーキングを解説しています。
・CEマーキングのWEBサイト
 CEマーキングのWEBサイト
2.整合規格リスト一覧
・EU指令の整合規格(harmonised standard)の最新リストを参照できます。
・例えば、LVD,EMC,MD,MDD他多数参照できます。
・整合規格のWEBサイト
整合規格のWEBサイト

3.市場監視のサイト(RAPEX)
・市場監視などで通報された危険な製品を公表しています。
・RAPEXのWEBサイト
RAPEXのWEBサイト

4.ブルーガイド
・製品規則の実施に関するガイドです。
・メーカー、輸入販売代理店のような製品のサプライチェーンなど全経済事業者が、ユーザーに安全な製品を提供するためのガイドです。
・内容は、欧州調和法の適用、供給者の義務、製品の要求事項、適合性評価、認定、市場監視、EU内での製品の自由な移動について解説しています。
・ダウンロードしたブルーガイドの表紙

ダウンロードしたブルーガイドの表紙
5.低電圧指令(LVD)のサイト
・電気電子機器の製品安全に関する法律(指令)のサイトです。各種情報が見れます。
・LVD指令のWEBサイト
LVD指令のWEBサイト


*「お問合せ

海外展示会で、製品販売に成功するために必要なこと!

*海外展示会の来場者の目的は「製品の購入、商談(即購入)」に来ています。
・欧州展示会では、来場者の目的が、日本の来場者(情報収集のため)とは異っています。


欧州展示会では、「この製品はCEマークに対応していますか」との問合せを、必ず受けます。
・その時に、CEマークに対応していなければ、商談は無くなる可能性が大になります。
・日本の場合は、展示会などでの商談の見込みが付いてから、製品づくりを開始します。一方、海外の輸入業者等は、その製品が気に入れば、その場で購入を決定したいと考えています。


海外展示会に出展を計画している場合は、各国の法令、CEマーク、UL等の規格適合を取得をすることが必須になっています。


 

CEマーキング適合の流れ:No.3

3.規格適合設計
(1) 対象製品の指令と整合規格を明確にする
①適用する規制(指令)及び該当規格を選定する
第一に、対象製品の法規制・規格を明確にする必要があります。
手順は下の通り です。 

a)製品の仕様を決定します。   
 特に規格適合に必要な情報を次に示す。
・装置の概要(何を行うもの)
・意図する使用場所(国、家庭用、産業用)
・どの様なユーザが使用するのか(一般人、専門家等)
・電力入力仕様(電力出力があれば、その出力仕様)
・寸法
・重量
b)該当指令を決定します。
・EU指令から、製品に該当する指令を選択する。
・例:一般電気・電子機器は「LVD、EMC、RoHS、WEEE指令」は少なくとも該当します。
c)次に、各指令の整合規格を選択します。
・各指令の整合規格リストから、対象製品の該当規格を選択します。
・その節、各EN(IEC)規格内記載の項目「適用範囲(Scope)の記述内容に入っているか」を確認して、該当すべき規格を決定します。例として、計測・制御・研究室用機器の場合はEN61010-1(IEC61010-1)を選択します。
(2)整合規格の要求事項を盛込んだ設計を行う。
整合規格をよく理解して、感電、火災、機械、燃え広がり、放射、液体、などの危険源についての保護を設計に盛り込む必要があります。
(3)重要安全部品を選定して、認証品を使用する。
(4)製造前に設計レビューを実施する。