EMC試験の受験前に、「適合可能か」を確認しよう!

*初めてCEマーキング取得において、陥り易いパターンは、「取り敢えず、EMC、又はLVD試験を受験するパターン」です。


→結果は、1回でパスできない場合が多い。
・そして、EMC発生源の探求や対策のための「各種費用の追加」が発生し、「再試験の追加費用」も発生する。⇒費用の増大
・又、一般的試験所では、時間の制限などで、試験の合否結果しか残らず、「どこが原因なのか」を探求できない。
・通常、一般試験所では、EMC対策はサポートしない。


事前に受験対策を考えていない場合、一度で、パスすることは難しい。その結果は、「試験費用の増大とCEマーキング取得期間の延長になる」ことが多い!


*主な理由は下のような状況のためです。
・ほとのどの場合、「EMC試験は多数の試験項目(8項目程度)があるため、全部を一度にパスすることは難しい。また、全試験項目の試験日数は3日以上も掛かかる。
・特に、初めてEMC試験を受ける場合は、EMC対策を検討してない場合が多く、全項目のパスができない。
・一方、LVD試験も、EMCと同様に、規格で要求している要求内容に適合した設計を行っていない場合は、ほとんど全試験項目をクリアできない。


*結論、最悪の場合は下のようになります。
・何回も再試験を繰り返す。→ 試験費の増大(数百万以上)、及びCEマーキング取得期間の延長(3ヶ月~1年以上)など。


EMC&Safetyコンサルタント
*上記のような結果にならないためには、一般的に合格が難しい試験項目の適合の可能性を、受験前に考えて、選択して、その試験項目のみを評価する法がよい!


*「EMC受験前の適合可能性を確認」により、適合性が高くなってから、全項目試験を受験すると、前記のような、混乱状態に陥いることなく、CEマーキングが取得できるようになる。


*まとめ
「EMC再試験を繰り返さないためのEMC試験の流れ」
*1.EMCテストプラン作成と2.EMC適合性確認により、結果的にスムーズに適合できる。
・スムーズにEMCをパスするために、下図の「1.EMCテストプラン作成」、および「2.EMC適合性確認」を行うのがよい。
EMC再試験を繰り返さないためのEMC試験の流れ


「お問合せ」先
・CEマーキングをサポートしています。
お気軽に「お問合せ」から、ご連絡下さい


 

 

車載機器の「アフターマケット製品」は「R10型式認証」、「EMC指令適用」か!

*自動車に搭載する「アフターマーケット機器」を、EUで販売する場合、当然、EU法令を遵守しなければならない。
(即ち、EMC自動車法の型式認証、又はEMC指令への適合を満たさなければならない。)


このアフターマーケット車載機器が、①EMC型式認証の対象となるのか、又はEMC指令の対象になるのかを判断する必要がある。


*下表1、及び下図1は、市販機器が、改正された規則 (EC) 661/2009 (UNECE Regulation 10) に従って型式承認を必要とするか、または EMC 指令の適用範囲に入るかの指針です。
 ・表1. ECE R10認証の要否
R10 or EMC

アフターマッケット製品のR10適用要否
・図1. アフターマッケット製品のR10認証の要否


*関連URL
国連自動車規則のサイト.
規則 EC 661/2009.


*後付の車載機器で上記のR10に該当しない機器は、容易にCEマーキングが取得可能です


「お問合せ」
・上記のR10認証要否のコンサルを行っております。
・アフターマケット車載機器のCEマーキング取得をサポートします。
お気軽に「お問合せ」ページから、ご連絡下さい


 

CEマーキングのEMC試験前に行う重要なことはEMCテストプランです!

*CEマーキングのEMC指令のEMC試験の前に、行うべき重要なことはEMCテストプランの作成です。


図.EMCテストプランの作成の分かれ道EMCテストプランを作成せずに、いきなりEMC試験を行うと、後戻りが発生します
試験費用増加だけでなく、EMC試験のやり直しのよるEMC試験期間の延長など、重大なトラブルが発生になりかねません
・従って、EMCテストプランはEMC試験前に作成して、トラブルの防止をしなければなりません。
・EN61326-1(計測・制御・試験室機器のEMC)では規格要求になっています。


*EMCテストプランを作成しない場合の不具合の例


・対象製品に該当する規格を間違う。
・規格内のグループ、又はクラス分類が違う。
・試験時のシステム構成が間違っている。
・周辺装置との信号ケーブルが接続されず、単体測定になっている。
・動作モードが電源ONのみで試験している。など


*EMCテストプランの要求内容は以下です


1.試験時のEUTと周辺機器の構成


(1)該当EMC規格を正しく選定する。更に、規格のグループとクラスを正しく選定する。
(2)製造業者が指定する代表的な組合せとする。

(3)EUTに附属している全ての機器,ラック,モジュール,ボードなどをEMC試験計画に記載する。
(4)ソフトウェア:バージョンを記載する。
(5)EUTの組合せ EUTの内部及び外部の構成が変化する場合には,形式試験は,通常の使用状態の一つ以上の代表的な構成で試験する。
(6)各種類のモジュールは,1回以上,試験を行う。
 ・これらの組合せの選択理由をEMC試験計画に記載する。

 ・ I/Oポートが複数あり,これらの全てが同一種類で,他のケーブルを接続することによって試験結果が大きく影響しないことを示すことができる場合は,その一つのポートにケーブルを接続するだけでもよい。
(7)種々の周辺装置を使用する場合には,実際の動作状態を模擬するために,それぞれの種類に対して一つ以上の周辺装置を選択して試験する。
(8)周辺装置は,模擬の装置でもよい。

(9)接続ケーブル及び接地接続は,製品の仕様に従って接続する。追加の接地接続は行わないこと
*上記を考慮したEMC試験時の構成図を作成する。又、EUT、周辺機器、接続ケーブルの表を作成して、EMC試験時の状態を明確にする。


2.試験中のEUTの動作条件


(1)代表的な動作モードは,EUTの全機能ではなく,最も典型的な機能だけを試験する
(2)動作モードは,通常の用途で推定できる最悪条件を選択する。
(3)試験中のEUTのソフトウェアの様々な動作モードを模擬するために使用するソフトウェアは,文書化する。


3.イミュニティ試験時の動作モード及び試験に対する機能性能判定条件


・それぞれの動作モード及び試験に対する機能性能は,可能な限り定量的に規定し、文書化する。


*スムーズにEMC試験をパスするための流れ
・下図のごとく、1.EMCテストプラン作成がまず、第一番です。
スムーズにEMC試験をパスするための流れ


 

CEマーキングとEUの法律の関係について!

*製品の適合性に関係するEUの法律は下の5つです。


・効力は1,2,3,4,5の順です。
1.規制(Regulation)

2.指令(Directive)
3.決定(Decision)
4.勧告(Recommendation)
5.意見(Opinion)


*規制(Regulation)はEU全体の法律として直接効力がある
・個々の加盟国による承認を必要としない。
・例、認定と市場監視の要件を規定する765/2008規則がある。
・最近では、MDD(医療機器指令)がMDR(医療機器規則)に格上げ。


*指令(Directive)は加盟国を拘束する。
・加盟国は、自国の法律に組み込む。
・委員会の専門家によって作成された広範な法的ガイドラインです。
・すべての指令がCEマーキングを要求しているのではなく、指令により、その要件を満たすとCEマーキングを要求している。


*決定(Decision)は、加盟国、会社、又は個人に宛てられた当事者にのみ拘束力を持ちます。
・具体的な行為の実施、あるいは廃止に関するもの。


*勧告(Recommendation)は、拘束力がない。
・実施を期待する事項である。


*意見(Opinion)は、拘束力がない。
・欧州委員会の意思表明です。


*まとめ(表. EU法の体系)

製造業者がCEマーキングで行うべことは何か!

*欧州の公式WEBサイトでは、製造業者がCEマーキングで行うべきこと(義務、安全性確認、CEマーキング適合手順)が解説されています。


製造業者の責任と安全性確認


・製造業者は、欧州経済地域(EEA)の単一市場に販売する製品の安全を確保する。
・製造業者は、自社の製品がEUの安全、健康、および環境保護の要件を満たしていることを確認する責任がある。
・適合性評価の実施、技術ファイルの作成、EU適合宣言書の発行、および製品へのCEマークの貼付は、メーカーの責任である。
・前記の安全性等の確認後、この製品はEEA市場で取引できる。


製造業者の一般的6つの適合手順とCEマーキング


1.製品に該当する指令、及び整合規格を特定する
2.対象製品に対する指令、及び整合規格の要求事項を評価する
3.欧州認定機関(NB)のよる第三者適合性検査が必要かどうかを調べ、特定する
4.製品を試験し、適合性を審査する
5.技術文書を作成し、保管する
6.製品にCEマーキングをする。又、EU適合宣言書を作成し、署名する。
・CEマークのロゴ
図.CEマークのロゴ

・EU適合宣言書のテンプレート(EUサイトから引用)
EU適合宣言書のテンプレート


*備考


製品によっては、上記の適合評価手順が異なるため、これらの6つのステップは製品によって異なる場合があります
・製造業者は、CEマークの貼付を指定している指令が1つも該当しない製品には、CEマーキングを貼付してはならない。
・ガスボイラーのように安全性のリスクが高い製品については、メーカーのみで安全性を確認することはできません。これらの場合、独立した組織、具体的には国家当局によって任命された通知機関が安全性審査を受ける必要がある。メーカーは、製品にCEマークを付けることができるのは、これが行われた後のみです。


 

EU公式WEBサイトでの、CEマーキングの解説内容は!

*CEマーキングについては、各WEBサイトで色々と解説されていますが、正規EUのWEBサイトでは下のような内容になっています。


・「CEマーク」は、欧州経済領域(EEA)の単一市場で取引される多くの製品に表示される。
・このマークは、EEAで販売される製品が高い安全性、健康、および環境保護の要件を満たすように評価されていることを示している。
・欧州経済領域(EEA)内では電話、玩具、またはテレビなどを購入すると、必ずCEマークが付いている。
・CEマーキングは、すべての企業が同じ規則に責任を担うことで公正な競争をしている。
CEマーク


*CEマークを付けることは何か


・メーカーは、CEマーキングを製品に付けることにより、その製品がCEマーキングのすべての法的要件を満たし、欧州経済領域(EEA)全体内で販売できることを宣言する。
・他の国で製造された製品を、EEAで販売する場合にも適用される。


*CEマーキングがEEA内の企業と消費者にもたらす主な利点は2つある。


・企業は、CEマークが付いた製品をEEAで取引できる。
・消費者は、EEA全体を通じて同じレベルの健康、安全、および環境に対する保護を受ける。


*EUの管理体制


・CEマーキングはEUの整合法の一部であり、主に国内市場、産業、起業家、および中小企業のため、総局によって管理される。
・有害物質の制限に関するCEマークは、環境総局によって管理される。
・EU製品ルールの実装に関する包括的なガイダンスは、ブルーガイドに記載されている。


*注意他


・すべての製品にCEマーキングが必要なわけではない。
・CEマーキングは、New Approach Directivesの対象となるほとんどの製品にのみ必須になっている。
・対象になっていない製品にCEマーキングを付けることは禁止されている。


*正規CE markingのWEBサイト
CE marking.

 

EMC指令に適合するために基本的なEMC対策は何か!

*EMC指令に適合するためには、製品の設計段階でEMC対策を盛り込むことが必須です。
・しかしながら、WEBなどの情報は、EMC対策に関するバラバラな情報が多く、まとめたものが少ない。そこで、下に基本的な対策をまとめました。


*EMC対策設計の重要なポイントを表に示します。


・EMC対策は下表のように、筐体、構造、回路構成、回路、基板、部品選択など、各部での対策が必要です。

表.EMC対策設計のポイント
表.EMC対策設計のポイント


 

EMC試験の費用の増大を防ぐため、受験前の適合性評価が必須!

*CEマーキング取得において、EMC、LVD、RoHSの内、一番、試験費用が掛かるのが、EMC試験の費用です。


*EMC指令のEMC試験費用はどの程度、掛かかるのか。(初回の平均150万円)


・民間のEMC試験所の場合では、1日の電波暗室やシールドルームの費用は、試験所又は規模により、20~35万円/日程度は掛かります。
・EMC指令のEMC試験では、試験項目(電磁妨害&耐ノイズ性)が多いため(6項目以上)、一般に、試験日数は3~5日掛かかります。
・更に、EMCテストレポート代(15万以上)も別途、必要です。
・上記を合計すると、合計金額は少なくても、100万前後、多い場合は200万以上も掛かかります。民間認定試験場では平均150万程度のようです。
・尚、不合格の場合は再EMC試験による費用が発生し、増大につながります。
・海外の試験所費用では、試験正確性レベルはまちまちで、日本ほどでないにしても、上記の1/3~1/2程度の模様です。


従って、EMC試験費用を最小限に抑えるためには、「1回目の全試験で合格する」こと即ち、再試験をしないこと!
困った顔


 ⬇
*EMC試験費用の増大のリスクを下げるためには、受験前EMC適合性評価とその結果のノイズ対策が必須です!


*以下の手順を推奨します!
*本番試験前に、本当にEMCを実践し、対策ができる人(実践的専門家)による、①トラブルの確率が高い試験項目を選定・評価をして、②適合性を確認し、③不適合の場合にはノイズ対策を行い、本番受験することです。

・尚、評論家・理論メインのコンサルでは、実践はできません。当然ながら、実践の経験のある人が適任です。
・多少の費用は発生しますが、EMCノイズ対策でよく陥る「再試験の繰り返し」(EMC費用の増大)を防ぐことが、できる。


*受験前のEMC適合性評価のその他の効果
・「追加試験費用の発生防止」だけでなく、EMCノイズ対策が自由に試すことができ、「対策技術の習得」に役立ちます。
・その結果、次の製品開発に役立ちます!


参考:EMC指令では第三者試験所又はEU・EMC試験所による、試験は要求しておらず、自社EMC設備等での試験でも、OKです
・従って、部分的でも、自社試験所、または各都道府県のEMC試験所を利用して、試験費用を抑制することができる。


 

CEマーキングの電気安全試験を自社で行うメリットは何か!

*CEマーキングでの電気安全試験と温度試験は自社で行うのが一番です。


・感電マーク感電マーク・高温マーク高温危険マーク


*どんな効果があるのか。


①「外部民間試験所費用」が少なくなる。
②試験所の混雑状況に左右されないので、「開発スケージュール」を守れる。
③「製品安全試験を実践で理解できる。」
④「エンジニアの安全技術力」が向上し、「フイールドでの製品品質」が安定する。
⑤「認定試験所で受験しなければならない第三者試験」の場合でも、社内で事前にチェックしているので、確実にパスする。

⑥「次の製品開発」に役立つ、など


*LVD指令での製品規格の電気安全試験にはどんな試験項目があるか。


・下表は主な製品の電気安全試験のIEC規格項目です。
表.主な製品の電気安全試験のIEC規格項目


*どのようにすれば、電気安全試験と温度試験ができるのか。(手順)


・難しくありません。
(1)自社で電気安全試験器を揃える。又は、レンタル、利用料が安い公立試験所の設備を利用する。

(2)試験方法を専門家から学ぶ
(3)テストレポートのテンプレートを作成し、それに各種試験データを入力する。
以上です。


*ご参考:やすく安全試験を実施する!


・電気安全試験器(安定化電源、電力計、耐電圧試験器、漏れ電流試験機、保護導通試験器、絶縁抵抗試験器、温度試験器)はEMC試験設備と比べ、桁違いに安いものです。例えば、数百万:外部認定試験所費用の2回分程度です。
・ある企業では、都産技研等で、試験器の使用方法を習得し、都産技研試験器を機器利用や、自社では一部の試験器を揃えるなど、有効利用しています!


*「電気安全試験」を支援いたします!
・お気軽に「お問合せ」から、ご連絡下さい。

EMC指令の必須要求と適合評価手順はどのようなことか!

*EMC指令は「どんな製品」に適用されるのか


EMC指令は欧州(EU)指令(指令は法律)”の一つです。
・従って、このEMC指令は、EU域内で販売される電気・電子機器の全ての製品に適用されます。
・EMCはElectromagnetic Compatibilityの略で、日本では、電磁両立性、または電磁環境適合性と呼ばれています。
・現在のEMC指令は、2014年3月29日から「Directive 2014/30/EU」 になっています。


*EMC指令の「必須要求事項」は何か


・EMC指令の必須要求事項は、Annex I(付属書 I)に記載されています。
(1)必須要求事項
・機器は、次の①、②を保証するように、最新技術を考慮して設計および製造すること。
エミッション抑制: 発生する電磁妨害が、無線および通信機器または他の機器が意図する動作を妨げるレベルを超えないこと。 (電磁妨害抑制)
図.エミッション

イミュニティ: 機器の意図した使用において、予期される電磁妨害に対する耐性のレベルを有すること。
又、その意図した使用で、許容できない性能劣化なしに動作すること。(耐ノイズのこと)
図.イミュニティ

(2)固定設備の特定要求事項
・固定設備は、適切な技術的な手法を採用し、その機器の使用目的に関する条件を検討して、上記(1)の必須要求事項を満たすように設置する必要がある。


*EMC指令の適合性評価の手順はどんな流れか


・一般的に下の様な流れで、行います。
(1)対象製品に該当するEMC整合規格を選定する
(2)EMC整合規格による試験を実施

(3)EMCテストレポートを作成
(4)EMC技術文書を作成
(5)自社内部管理(モジュール)で審査
(6)EMC適合宣言書を作成
(7)CEマーキング
図、EMC指令の適合評価の流れ

EMC指令の適合評価の手順


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