医療機器ではEMCテストプラン作成が必須です!

医療機器では、EMC規格のIEC60601-1-2への適合が必須です。


・EMC試験前に、「EMCテストプラン」を試験所に提供しなければなりません。
・テストプランの推奨内容に関する指針が、付録Gにあります。


*下表は医療機器のEMC規格IEC60601-1-2のEMCテストプランの内容一覧(一部)です。
表.医療機器のEMC規格IEC60601-1-2のEMCテストプランの内容一覧(一部)
尚、全部の「IEC60601-1-2:EMCテストプラン内容」は「実用資料」のページにあります。

製品安全チェックリスト(目視検査)!

*製品安全設計の検査で、まず最初に目視検査を実施します。
・この「目視検査チェックリスト」を「実用資料」のページにアップしました。


主なチェック項目は以下です。
1.エンクロージャー(筐体)
(1)機器のエンクロージャ
(2)追加の考慮事項
2.接地、配線、接続
(1)保護接地(PE )
(2)一般要求
3.ラベルとマーキング
(1)マーキングおよびラベル
(2) 機器内部のマーキング
(3) 計測端子マーキング
4.材料の難燃性
(1)難燃性の要求
以上

製品安全規格の漏れ電流の種類と試験方法について!

*漏れ電流試験は「感電の危険性」に関係する重要な試験項目のひとつです。
・このため、ほとんどの安全規格で、この試験を実施します。


*漏れ電流とは何か


・漏れ電流は、主電源で動作する電気機器で発生し、機器に接触する人(ユーザー、オペレーター、サービスプロバイダーなど)の「感電の危険」となる。
・保護導体電流(接地漏れ電流)またはタッチ電流は、内部の危険電源部とアクセス可能な部位間の不十分な絶縁、または不適切なグランディングのために、人が機器へのアクセスできる部分に存在する漏れ電流のこと。


*漏れ電流の種類
・次のように①、②、③、④に4つに分類される。


①保護導体電流(接地漏れ電流):
・IEC 60601-1規格で、「主電源部品から絶縁体を通ってまたは絶縁体を横切って保護接地導体または機能接地接続線に流れる電流」として定義されている。
②タッチ電流(接触電流)、またはエンクロージャの漏れ電流:
・IEC 60990規格で「設置または機器の1つまたは複数のアクセス可能な部分に触れるときの人体または動物の身体を通る電流」として定義されている。
③患者漏れ電流(医療用電気機器規格のみ)
・IEC 60601-1規格で「患者接続から患者を経由してアースに流れる電流」として定義されている。
④患者測定電流(医療用電気機器規格のみ)
・IEC 60601-1規格で正常な使用時に,患者を介してある患者接続部と他のあらゆる患者接続部との間に流す生理的な効果を意図しない電流として定義されている。


*製品安全規格により、漏れ電流の項目、限度値、試験法が異なる。
・下表にようにさまざまです。従って、各規格をよく理解する必要があります。
表.製品安全規格と漏れ電流


 

*下のような場合は、漏れ電流の値が大きくなる可能性がある。


・不適切な接地または機器の設置、・機器の絶縁材の経年劣化および劣化、破損した部品)。
・許容値よりも大きい漏れ電流が発生している機器は、人体に感電の危険をもたらすので、許容値以下に低減して、感電のリスクを低減する必要がある。


*漏れ電流の存在によって発生する感電から使用者を保護の状態を確認するために、試験を行います。


・この試験では、特定のテスターを使用してタッチ電流/保護接地電流/漏れ電流試験を実行します。
・漏れ電流の試験は、「定格電圧の上限と、最高周波数」で試験する必要があります。


*漏れ電流の増加の原因となる部品


・アースおよびタッチリーク電流の増加に直接関係する部品(RFフィルターなど)があります。
・これらの部品を選択する場合、それらの部品の漏れ電流定格は注意して選択する必要がある。


*参考文献
・IEC 60990:2016(タッチ電流と保護導体電流の測定方法)


*お問合せ先


・各種規格のコンサルを行っております。
・お気軽に「お問合せ」から、ご連絡下さい。

製品安全の保護手段(MOP)又はセーフガードとは何か!!

1.保護手段(MOP)とは何か


・危害を引き起こすハザードに対する適切な保護手段(MOP)を実現するには、「正常状態と異常状態の両方」で製品に関連する既知の予測可能なハザードについて、全部を識別する必要があります。
・尚、MOP(保護手段)という用語は、一部の新規格(IEC 62368-1)で「セーフガード」という用語に置き換えられています。
・IEC62368-1のセーフガードとは、容認できない危害のリスク(痛み、怪我による死亡、財産や環境の損傷)の可能性を減らすために、物理的な部品またはシステムまたは指示による保護のことです。
・又、医療機器規格(IEC 60601-1)では、MOPを、感電の危険性のみによる容認できない危害のリスクを低減する手段として定義しています。
・絶縁で分離する必要がある箇所がある場合には、1つの保護手段(基礎絶縁)または2つの保護手段(強化絶縁)を備える必要があります。


*MOP(保護手段)は、各種のハザードカテゴリの「非危険区域と危険区域」のあらゆる種類のハザードを分離するために使用する。


次のようなことです。
・危険な状況を引き起こす可能性のあるエネルギーの①レベルを下げる、②伝搬速度を遅くする、または③方向を変更する
・危険な状況の原因を切断、中断、または無効化する。
・危険な状況の原因と、保護が必要な人間との間に障壁を設置する
・危険な状況の発生源の箇所へのアクセスを制限する


*規格で適合性を確認する
・完全な保護は不可能なため、最良の安全対策は、人を保護することが優先される合理的で、かつ十分に考え抜かれた妥協点を見つけることになる。

・そして、製品に提供するMOPは、対象部分が規格等で指定された試験に適合しているかどうかで推定する。


2.感電に対する保護手段は何を行う


・感電に対するMOPは、充電部との直接接触および間接接触に対して、設置する必要がある。
・それらは、固体絶縁体、危険場所と非危険エリアの間の間隔(空間距離と沿面距離)、保護接地接続、保護コンポーネント(インピーダンス、過電流保護デバイス、安全インターロック等)、バリアおよびエンクロージャーで構成または実現する。 又、危険区域へのアクセス、設置手順、危険区域の警告マーク、および保護具(危険電圧に対する手袋の耐性)で行う。


3.機械的危険に対する保護手段(MOP)とは何か


・機械的危険に対する保護手段は、障壁(カバー、ガード)、圧力逃がし弁、安全キャッチとインターロック、鋭利な角と角の丸み、設置手順、危険なエリアへのアクセスに関する警告マーク、および保護具(例:耐衝撃性ゴーグル、顔面シールド、耳栓)です。


4.放射線(イオン化および非イオン化)ハザードに対する保護手段とは何か。


・放射線に対する保護手段は、放射線源のスクリーニング、放射線の制限を行う保護コンポーネント、放射線エリアへのアクセスを制限する安全インターロック、設置手順、放射線エリアに関する警告、および保護具(安全眼鏡)等です。


5.熱(熱および火災)ハザードに対する保護手段とは何か


熱的危険に対する保護手段は、可燃性部品からの潜在的な発火源の絶縁(分離)(巻線の過負荷、接触不良、短絡、およびアーク放電)、適切な可燃性成分(例えば、 現在の保護装置、熱遮断装置および温度制限装置)、潜在的な高温部品の警告マーク、設置説明書、および保護具(手袋や特殊な衣服)等です。


6.生物学的ハザードに対する保護手段とは何か


・生物学的危険に対する保護手段は、人体と接触する部品のIS0 10993規格に適合した生体適合性材料、潜在的な生物学的危険領域の警告表示、および保護具(手袋や特別な衣服など)等です。


7.化学的危険に対する保護手段とは何か


・化学的危険に対するMOPは、危険な物質を含む容器の分離と密閉、危険な場所へのアクセスに関する警告マーク、設置指示書、および保護具(手袋、特別な衣服、耐薬品性ゴーグルおよび顔面シールド)等です。


 

LVD指令・EMC指令の技術文書とEU適合宣言書の作成について!

*CEマーキングにおいては、製造企業は必ず、次の2つの文書を作り、10年間保管しなければなりません。


(1)技術文書(Technical Documentation)
(2)EU適合宣言書(EU DECLARATION OF CONFORMITY )


(1)技術文書の記載内容について
・低電圧指令、又はEMC指令の附属書に下表のような要求事項があります。
表.技術文書の記載内容


(2)EU適合宣言書
・このEU適合宣言書も各指令の附属書に記載項目が列記されています。
・下はEMC指令の記載内容です。
・尚、EMC,LVD、RoHSの適合を一つにまとめて宣言します。

(EMC指令附属書の記載)
表題:EU declaration of conformity (No Xxxx) 注(1)
1. Apparatus model/Product (product, type, batch or serial number):
2. Name and address of the manufacturer or his authorised representative:
3. This declaration of conformity is issued under the sole responsibility of the manufacturer.
4. Object of the declaration (identification of apparatus allowing traceability; it may include a colour image of sufficient clarity where necessary for the identification of the apparatus):
5. The object of the declaration described above is in conformity with the relevant Union harmonisation legislation:
6. References to the relevant harmonised standards used, including the date of the standard, or references to the other technical specifications, including the date of the specification, in relation to which conformity is declared:
7. Where applicable, the notified body … (name, number) performed … (description of intervention) and issued the certificate:
8. Additional information:
・Signed for and on behalf of:
・(place and date of issue):
・(name, function) (signature):
注:(1) It is optional for the manufacturer to assign a number to the declaration of conformity.


(3)EU適合宣言書(DoC)の例
・EUの適合宣言書の例を下図に示します。
・尚、下の例はEMC、LVD、RoHSの適合をまとめたものです。
EU適合宣言の様式の例


*「お問合せ

製品に該当する「LVD指令とEMC指令」の規格をどのように調べるのか!

*機器又は部品により、「製品安全、及びEMC」の整合規格等は異なります。


*該当する規格の選定の仕方


*まず、(1)整合規格リスト、IEC規格などの表題で、該当しそうな規格を選定します。
*次に、(2)それぞれのEN規格、又はIEC、ISO、CISPR規格の「スコープ」に記載されている対象製品の範囲で確認します。


*主な製品のIEC規格の該当規格の一覧


・電気電子機器のIEC規格一覧表
主な製品の該当規格の一覧表
・尚、上表のごとく、電気電子機器だけでなく、電気電子製品に組込まれるモータ、トランスなどの重要安全部品も、該当規格への適合が必要です。
・即ち、製品全体が適切なIEC規格に準拠した製品を製造しなければなりません。


製品の設計時点で規格の要求内容を的確に盛り込みしよう!


・規格の解説、または規格への適合設計をサポートしております。
お気軽に「お問合せ」ページから、ご連絡下さい

米国、FCC規制の自社宣言(SDoC)方式はどの様な内容か!

*米国、FCC規制の証明として、「RF放射を意図しない機器」については供給事業者による自社宣言(SDoC)方式が利用できます。


1.どんな機器が自社宣言(SDoC: Supplier’s Declaration of Conformity)が可能か。


・SDoCの対象となる装置は、通信目的で無線周波数信号(RF)を意図的に送信しない装置、すなわち、音声・データを無線受信機に送信しない装置です。
・無線機器は対象外です。

・SDoCのカテゴリには、コンピュータ周辺機器、発光ダイオード(LED)表示、超音波加湿器、電子レンジなど、幅広い民生用および商業用機器が含まれています。
・SDoCの対象となる機器は、FCC規則のセクション15.101(a)および18.203に記載されています。
・SDoCの対象となるすべての機器の網羅的なリストが含まれていないので、RF機器販売メーカは、RF機器が無線機器の規則に適合していることを確認しなければなりません。


*表 FCC規則の機器のタイプと認定タイプの関係
・認定タイプ欄のSDoC記載がある機器タイプは「SDoC方式」を採用できる
表 FCC規則の機器のタイプと認定タイプ
・尚、認定タイプの欄に「認証」のみの場合は、「米国認定試験所(TCB)での試験/証明」が必須です。更にFCC ID取得のためにTCB経由申請、FCCIDの表示が必須です。
・また、無線機器は認証方式のみです。


2.違反の場合、罰則があります


・違反者に罰金が科せられ、1回の違反につき合計15万ドルを超える可能性があります。
・現在、販売違反で1日あたり最大20,134ドル、継続的違反で最大151,005ドル


3.このSDoC方式を利用するための主な条件は何か


(1)FCC技術規則のEMCテストによる装置の規制値以下への適合
(2)機器の表示およびその他のラベルの遵守
(3)試験報告書や遵守報告書の記録文書の保持
(4)機器のFCC規則の遵守を担当する当事者が米国に存在すること。


・参考情報
「SDoCの場合」は、EMC試験所の「FCCへのEMCの認定や登録の要求はなくなったので、FCC認定EMC試験所外でも試験が可能である。
・一方、「認証の場合」は、EMC試験所の認定期間から
ISO/IEC17025のEMC認定を受けたFCC通知試験所で試験をする必要がある。


*「お問合せ
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重要安全部品の選択において、確認すべき重要なことは何か!

 

*LVD指令の製品安全規格の適合設計において、最初に行わなければならない大切な作業は、表2の「重要安全部品(Critical component)」の選択です。


・これらの部品は「認定機関による認証品」を選択しなくてななりません。
・更に、「RoHS適合品」であることも必須です。


選択するに、当然ながら、重要安全部品の基準(規格)に適合していることを確認しなければなりません。
・この確認作業のためには、部品
メーカから、下の「6つの情報」を入手します。


1.Component name: 部品名
2.Manufacture / trade mark: 製造者/商標
3.Type / model: タイプ/モデル
4.Technical specifications: 技術仕様,定格
5.Applicable standard: 適用規格
6.Mark of conformity (approval status) : 認証機関の適合マーク(認証エビデンス) UL,TUV,VDE等の適合マーク,UL File No. etc


表1.重要安全部品表の記載(例)
 1.     2.   3.   4.    5.     6.
表1.重要安全部品表の記載(例)


・表2.主な重要安全部品リスト
表2.主な重要安全部品リスト


*関連記事
 重要安全部品の重要性


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米国向け産業機器はNRTL認証が必要です!

*米国内の労働者が使用する「産業用電気電子機器」は、米国「OSHA(米国労働省労働安全衛生局)」の法律により、「製品安全規格の適合」(NRTL認証)が義務となっています


・日本では、産業用電気電子機器については、特に製品安全についての強制では有りませんが、米国では法律で規制されています。
・米国では、工場の作業員の安全を守るために、州、市などの地域の監督官が、産業用設備の導入において、検査を行います。
・その際に、電気・電子機器はもちろん、電源入力配線などの検査を指定機関の検査官が実施します。
・但し、NRTL認証を得ている機器は、検査なしで認可されます。
・当然ながら、検査官により、指摘があった場合は、改修しなければなりません。


*米国・国家認定試験機関(NRTL)制度の概要


・1988年から、米国労働安全衛生局(OSHA)によって設立されたは、製造業者および販売業者に、電気および電子機器および材料が作業者の安全に関する米国政府の規制を満たすことを実証する制度になっています。


*NRTL認証を要する製品は何か


・連邦規則Title 29 Code(29 CFR Part 1910)のPart 1910の下で、NRTL認証は37種類の製品に必要です。この製品カテゴリーには、自己閉鎖型防火ドア、火災検知、スプリンクラーシステム、産業用作業場で頻繁に見られる設備など、職場環境の構築または運用に使用される広範囲の機器および材料など、産業環境用製品が含まれています。
・表.NRTL認証を要する機器リスト
・表.NRTL認証を要する機器リスト
NRTL認証を必要する製品カテゴリ


*電気・電子機器に関係する電気の規則
・「1910 Subpart S – Electrical(電気)」

29 CFR 1910.399(電気)


*関連WEB
・最新NRTLのリストCurrent List of NRTLs
(各NRTLの認定できる規格が分かります。)
NRTLのWEBサイト
OSHAの認定試験所(NRTL)プログラム
NRTLプログラムの試験規格リスト


*参考:各NRTLで認定可能な規格が異なります。又料金(認定、工場審査等)も違うようです。


・OSHA(米国労働省)WEBサイト
OSHA(米国労働省)WEBサイ


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