製品安全規格の重要安全部品の選択は大切です!

*製品安全規格の設計において「重要安全部品」の選択は非常に大切です!


1.設計時点で重要安全部品の選択は必ず、的確に行うこと!


・LVD、UL、IEC等の製品安全規格に適合するための回路設計を行うときに、第一番目の「重要な設計作業」として、重要安全部品の選択がある。
・これを確実・的確に選択しないと、検査時に判明して、再試験などの大変な事態になる。

・特に、今まで、安全規格に準拠しないで、製品化している場合は、この的確な選択を行っていないので、結局、再選択が必須となる。
備考):下のような、多くの製品安全規格で、要求事項となっている
・計測・制御・研究室用機器の製品安全規格(IEC61010-1)では14章(部品及びサブアセンブリ)、2章(引用規格)
マルチメディア機器の製品安全規格(IEC62368-1)では付属書G(部品)、並びに付属書L
・家庭用電気機器の製品安全規格(IEC60335-1)では24章(部品)
・医療機器の製品安全規格(IEC60601-1)では4.8章(部品),4.9章(高信頼性部品の使用)
などその他の規格.


2.エビデンス(証明書等)の入手が必須です!


・「重要安全部品」はその部品毎に、該当する規格があり、それに適合している各国認定試験所により承認された「認証部品」を使用しなければなりません。又、必ず、サプライヤーから、認証のエビデンスとして「証明書」などの収集が必須です。
・同時にRoHS対応の確認も必須です。


3.試験時に、証明書の確認を実施すること!


・各種製品の「製品安全規格試験」において、「重要安全部品」は「各国の認定試験機関による検査では適合認証品」が使用されているかを検査される。
又、この部品の認証書等(認証機関等の発行証明書)の有無の確認がある。
・従って、検査前に入手が必要になる。


4.重要安全部品とはどんかものか!


・製品安全設計時に使用する部品・組立品において、重要安全部品は以下のようなものです。
・以下に該当する場合は、十分に注意して選択しよう。
(1)危険電圧がかかる部品

電源卜ランス、ヒューズ、電源プラグ、電源コード、電源インレット、電源コネクター、電源アウトレット、電源スイッチ、ブレーカ、リレー、筐体材料、フォトカップラ、ライン間抵坑、高圧抵抗・コンデンサの複合品、ファンモーター、内蔵電源、高圧部品、モータ等
(2)安全保護用部品
ヒューズ、ブレーカ、インターロックスィッチ、サーモスタット、バッテリー充電制御回路、サーマルヒューズ(トランス内蔵の物も含む)等
(2)EMCに関係する部品

ラインフィル夕ー、サージアブソーバ、ライン間コンデンサ、ライン・シャーシ間コンデンサ等
(4)高エネルギー部品/組込機器

リチウム電池、ファーン、モータ、ハードディスク、レーザーユニット、内蔵電源等
(5)絶縁材料、火災に関連する部品
プラスチックの筐体/コネクタ/端子台、 PWB、配線、プラスチック部品等
(参考)表.重要安全部品の具体例一覧
(4)表.重要安全部品の具体例一覧


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マルチメディア機器のエミッション規格(EN55032)の概要と許容値!

*EN55032:2012(CISPR32:2012)は「マルチメディア機器」のエミッション規格です。


・CISPR22(IT機器のエミッション)をベースにCISPR13(放送用受信機と関連機器のエミッション)から特有の箇所を取り込んだ規格になっています。


・欧州EMC指令では、EN55032:2012が2016年8月12日に発効されており、2017年3月5日から強制になっています。


1.EN 55032:2012(CISPR32:2012)の概要


*対象機器は何か
マルチメディア機器とは用語/定義(3.1.23)で下のごとく規定されている。
・情報技術機器(3.1.20),オーディオ機器(3.1.6),映像機器(3.1.29),放送受信機器(3.1.7),エンターテイメント照明制御機器(3.1.15),又はその組み合わせである機器
(1)測定方法
CISPR22を基本に、周辺機器を接続し、通常使用状態での、即ち、「システム状態の測定」が要求されています。
(2)CISPR13から、下の測定項目を追加
・放送用受信機の①チューナポート入力電圧測定、および②ビデオ変調出力電圧測定です。
(3)1GHzまでのエミッション測定距離は2パターン
3mと10mの測定を許容値があります。
(4)1G-6GHzのエミッション測定を追加
(5)有線ネットワークポートの伝導妨害測定を追加。
(CISPR22の通信ポートの伝導妨害のこと。)
尚、受信機のチューナポート、及びアンテナポートの伝導妨害測定も要求されている。


2.クラス分け(住宅環境使用、及び、それ以外での使用)

①住宅環境で主に使用することを意図している製品はクラスB。
②それ以外はクラスAになる。


3.複数の測定法が規定されている場合の選択

・そのどれかの測定法で適合すればよいようです。
尚、再試験の場合はその選択した測定で行わなければならない。


4.試験時のモニタ機器の表示内容

・複雑度によって4つのパターン表示が規定されています。


5.EMCテストレポートに記載すべき内容は
・「付属書のF」に参考として記載されています。


6.試験ポートの構成が定義されています。
・下図の様に①~⑨のポートで試験し、許容値が規定されています。
図.試験ポートの構成が定義


7.許容値の値はどこに記載しているのか


・付属書Aの「表」に規定されています。
・許容値は以下です。
①エンクロージャーポート:表A.2,表A.3,表A.4,表A.5,表A.6,表A.7
②AC電源ポート:表A.8,表A.9
③DC電源ポート:要求なし
④有線通信ポート:表A.10,表A.11
⑤信号・制御ポート:要求なし
⑥アンテナポート:表A.10,表A.11
⑦放送受信機チューナポート:表A.12
⑧RFモジュール出力ポート:表A.12
⑨光ファイバーポート:表A.11


8.許容値のまとめ


(1)放射エミッション
①-1.クラスA機器:30-1000MHz
表.①-1.クラスA機器
①-2.クラスA機器:1-6GHz
表.①-2.クラスA機器
②-1.クラスB機器:30-1000MHz
表.②-1.クラスB機器
②-2.クラスB機器:1-6GHz
表.②-2.クラスB機器
③FM受信機
表.③FM受信機
(2)伝導エミッション
①クラスA機器:適用ポート;AC電源
表.①クラスA機器
②クラスB機器:適用ポート;AC電源
表.②クラスB機器
③クラスA機器-非対称モード:適用ポート;有線ネットワーク、光ファイバ、アンテナ
表.③クラスA機器-非対称モード
④クラスB機器-非対称モード:適用ポート;有線ネットワーク、光ファイバ、アンテナ、放送受信チューナ
表.④クラスB機器-非対称モート
⑤クラスB機器-差動電圧:適用ポート;TV放送受信チューナ、RF変調器出力、FM放送受信チューナ
表.⑤クラスB機器-差動電圧


*関連記事
マルチメディア機器のイミュニティ規格(EN55035)の試験レベル値、判定基準について


*参考:EN 55032体系図
EN 55032:2015体系


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計測・制御・研究室用機器のCEマークに必須な指令と整合規格の選択!

産業用電気・電子機器の内、よく使用される機器として「計測・制御・研究室用機器」があります。
さて、日本では、この計測・制御・研究室用機器に対して製品安全、EMC(ノイズ)等に対する規制がありません。
従って、特に海外に輸出しなければ、規格に準拠する、しないは、メーカの任意です。


 一方、欧州では、全ての「電気・電子機器」が対象のため、この計測・制御・研究室用機器も、EMC、LVD、RoHS等の規制対象機器となっています。
従って、海外に輸出する前に、EU法令(EMC,LVD,RoHS,・・・など)に基ずく、対象製品に該当する規格(整合規格)に適合する必要があります。


No.1 第一に、「計測・制御・研究室用機器」に関係する指令と整合規格をEUの検索サイトで、整合規格一覧から、製品名により、整合規格を選定します。
No.2 次に「各規格の適用範囲」の項目に対象製品が該当しているかを確認し、確定します。
・尚、一般要求事項の規格はこの「計測・制御・研究室用機器」の機器に全て適用されます。更に、「特定要求事項の規格(2シリーズ)」は該当していれば、この規格規格の両方の適用になります。
尚、RoHS指令の整合規格は一つです。(EN50581のみ)
(参考:一例) 体外診断医療機器の場合は下の整合規格の適合が必須になります。
・LVD: EN 61010-2-101、及びEN 61010-1
・EMC: EN 61326-2-6、及びEN 61326-1
・RoHS: EN50581
以上です。


参考.
①. LVD指令の「計測・制御・研究室用機器」の主な整合規格リストです。

EN 61010-1:一般要求事項
EN 61010-2-010:材料加熱用の試験所機器の特定要求事項
EN 61010-2-020:試験所用遠心分離器の特定要求事項
EN 61010-2-030:試験又は計測回路をもつ機器の特定要求事項
EN 61010-031:電気計測及び試験のための手持形プローブアセンブリ
EN 61010-2-032:電気試験及び計測用手持ち形及び手動操作形電流センサの特定要求事項
EN 61010-2-033:主電源の計測が可能な家庭用及び業務用手持ち形マルチメータ及びその他のメータの特定要求事項
EN 61010-2-040:医用素材の処理に使用する滅菌器及び洗浄消毒器の特定要求事項
EN 61010-2-051:混合及び撹拌用の試験所機器の特定要求事項
EN 61010-2-061:熱的霧化及びイオン化をもつ試験所用原子スペクトロメータの特定要求事項
EN 61010-2-081:分析及びその他の用途の自動及び半自動試験所機器の特定要求事項
EN 61010-2-091:キャビネットX線システムの特定要求事項
EN 61010-2-101:体外診断医用機器(IVD)の特定要求事項
EN 61010-2-120: 機械的側面がある機器に対する個別安全要求事項
EN 61010-2-201:制御機器の特定要求事項


②. EMC指令の「計測・制御・研究室用機器」の主な整合規格リストです。
EN 61326-1:一般要求事項
EN 61326-2-1:個別要求事項 – EMC防護が施されていない感受性の高い試験及び計測機器の試験配置,動作条件及び性能評価基準
EN 61326-2-2:個別要求事項 – 低電圧配電システムで使用する可搬形試験,計測及びモニタ機器の試験配置,動作条件及び性能評価基準
EN 61326-2-3:特定要求事項-内蔵又は遠隔信号コンディショニング付きトランスデューサの試験構成,運転条件及び性能基準
EN 61326-2-4:特定要求事項 -IEC 61557-8に従う絶縁監視装置及びIEC 61557-9に従う絶縁故障用機器のための試験構成,運転条件及び性能基準
EN 61326-2-5:特定要求事項 -IEC 61784-1に従うインタフェースをもつ現場装置のための試験構成,運転条件及び性能基準
EN 61326-2-6:特定要求事項 – インビトロ診断(IVD)医用機器


これらの規格への適合支援をおこなっております。お問合せ下さい。

IEC 61010-1で要求されているリスクアセスメントの方法!

*計測、制御、研究室用機器の製品安全規格(IEC 61010-1:2010)の3版には、17章にリスクアセスメントの要求が追加されました。


*このリスクアセスメントの方法について、IEC61010-1規格に記載されている方法の説明をします。
・この規格のリスクアセスメント方法は、他の電気・電子機器の「リスクアセスメント」として、利用できる方法(マトリックス法)です。


*IEC 61010-1規格のリスクアセスメント要求、および関連規定の記載場所はどこか。
・この要求は、「第17条および附属書J」に、要求事項、およびガイダンスを記載しています。


1.リスクアセスメント(マトリックス法)のながれ


・下図のようなフローになります。尚、対象機器によって、危険源のレベルは違うので、その機器における全危険源に洗い出して、各危険源ごとに、リスクアセスメントを実施します。
事前検討&準備


電気電子機器のリスクアセスメントの流れ
図1 リスクアセスメントのフロー


2.事前検討・準備


*リスクアセスメントを実施する方法を決めて、リスクアセスメントの事前準備を行う。
・IEC61010-1の「附属書J」による方法(マトリックス法)を採用し、見積り、評価、受容レベルを規定する。
(1)見積り、および評価のための、基準を明確化する。
a)各危険源リスクの「傷害の厳しさ」を決める。
人、設備、環境等に対する障害の厳しさを決める。
表1.「障害の厳しさ」(例)表1.「障害の厳しさ」(例)

b)各危険源リスクの「発生度合」を決める。
表2 「発生度合」(例)表2 「発生度合」(例)

C)受容のレベルを決める。
前記a),とb)の両方による「障害の受容レベル」を決める。
表3「障害の受容レベル」決定(例)
表3「障害の受容レベル」決定(例)


3.リスクアセスメント実施


(1)機器のリスク現象を洗い出す。
・この時に「意図する使用の制限内での危険源」、及び「予見可能な誤使用」など、危険リスクを淡い出します。(通常と誤使用の2つの状況)
・機器の出荷から破棄までの全ライフサイクルについて行うこと。
(2)機器に「潜在する全危険リスク」のリスクアセスメント実施
その後は、対象機器の全危険現象について、上図1にそって、(1)危険源の特定、(2)リスク見積り:「傷害の厳しさ(表1)」、「発生度合(表2)」の選定、(3)リスク評価「傷害の受容レベル」
(3)受容できない場合
リスク評価で受容不可のレベルの場合は、図1のごとく、リスク低減対策を実施し、再度、リスク見積り、リスク評価を実施する。尚、リスク評価で受容可能レベルまで、リスク低減の対策を繰り返します。


4.文書化と保管


製品に潜在する「全てのリスクが受容可能レベル」に達したら、リスクアセスメントを文書として残さなければなりません。
・下の内容で文書化する。
a)機器の限界(範囲)の決定
・仕様、限界、意図する使用目的等
・前提条件(例えば負荷、強さ、安全係数)
b)危険源の同定
①危険状況の識別
②評価の際に検討した危険事象
c)リスク評価の基になった情報
①使用したデータおよび情報源
(事故歴、同様の機器から得られる経験)
②使用されるデータおよびリスク評価への影響に伴う不確実性
d)保護対策によって達成すべき目標
・許容できるレベルを記載
e)保護手段   排除した危険、およびそのリスクを軽減に実施した方策
f)残留リスクとその方策
・機器に警報機能を設置
・機器に警告表示
・取扱説明書に記載


*参考:本規格(IEC 61010-1:2010)のJIS規格(JIS C1010-1:2014)が発行されています。
 下のURLから閲覧できます。
JIS検索


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*関連記事
計測・制御・研究室用機器のCEマークに必須な指令と整合規格の選択!

CEマークキング取得での第三者試験所費用はどの程度掛かるか!

*一般的電気・電子機器のCEマーキングに掛かる「外部支出の費用」はどの程度か!


・CEマーキング費用の内、外部へ支払う第三者試験所等費用について説明します。
・内部で発生するの設計変更など費用などは、含みません。


(1)EU認定機関NB利用の場合の大凡の試験費用
・EMC試験費:数百万円~(尚。再試験時は更に2倍~)
・LVD試験費:百万円~(尚、再試験時は更に2倍~)
・MD(機械):数百万円~(尚、再試験時は更に2倍)
(2)CEマーキングの総合費用
・前記のEMC費用、LVD費用、MD検査費の合計が総合費用です。かなりの費用になります。
・例えば、計測・制御・実験室用の機器で、必須な指令として、EMC、LVD、RoHs等が必須です。
一般的な認証機関では、それらの試験費用は500万程度掛かっているようです。
(3)認証管理費、定期工場検査費
・EU認定機関では証明書などの書類など管理費、又、製品の品質管理の検査のための定期的な工場検査費があります。
・毎年、100万程度は掛かるようです。


*欧州認定機関(NB)が行わない業務
(メーカが自ら行なわなければらなないこと)


(1)EMC、製品安全試験等の不適合時の対策
・欧州認定機関(NB)、試験所等は支援しません。これは、認定機関、認定試験所は不適合時のアドバイスは禁止されているから、できないのです。
・したがって、対策ノウハウを保有していないと、どんな対策をを行うのか分からず、開発が遅れ、更に試験費用が増大します。試験所にとって、よい顧客様となります。
(2)適合宣言書(DOC)、技術文書(TD)の作成
・これらは、メーカが作成することと指令で義務付けられているので、欧州認定機関(NB)、試験所等は作成しません。
・従って、自社で作成しなければなりません。


第三者機関を利用する場合は、「余裕の予算&取得期間」、及び「技術文書作成作業費用など」を考慮しなければなりません。


・事前に第三者の費用を余裕をもって見積もる。
・試験費用だけでなく、証明書費用、および管理費用も問い合わせ、把握する。
尚、CEマーキングでは自己評価手順(モジュールA)が利用できる指令があるので、それを利用することで、費用を抑えることができます!


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自動車に搭載機器のEMC規制(UNECE R10)の型式認証の手順!

*自動車(車両)、そのサブアセンブリ、またはコンポーネントなどを公道で、車両にて使用するためには、各国の法的な適用要件を満たすことが必須です。
・即ち、車両の登録、および販売の前に適切な型式承認を取得する必要があります。


*国際的に、車両で使用する「コンポーネントやセパレート・テクニカル・ユニット(STU)」はEMC要求があり、国際規格UNECE R10が発行され、規制されています。
備考)
・UNECE:国際連合欧州経済委員会
・UNECE R10 は、路上での使用が意図された車両、及びそのような車両への取り付けが意図されたたコンポーネントやセパレート・テクニカル・ユニット(STU) の EMC に関する規則です。
・コンポーネントとセパレート・テクニカル・ユニット (STU) は、いずれも車両への取り付けを意図した独立したユニットのことです。
・電子サブアセンブリ(ESA)は「コンポーネント」と「個別技術ユニット」(STU)を含む総称です。


・EUの型式承認は、2014年11月1日に2004/104 / ECは廃止され、規則(EC)No.661/2009により、UN/ECE R10による「Eマーク」を遵守する規則になっています。
eマークからEマークへの移行

・また、車両へのアフターマケット(後付け)電子機器は、以前のeマークからCEマークになっている。:整合規格はEN 50498になる。
・カーラジオ、TV等の放送受信機、GPS及びBluetoothなどの無線機能搭載機器は、無線機器指令の対象にもなる。
・尚、欧州自動車関連のEMC規制はEU車両型式認可枠組み指令(2007/46/EC)に基づく型式認可制度(車両、車両システム、及び車両部品を対象としているeマーク制度)もある。


1.型式承認手順の概要
UNECE規則の下ので、型式承認の手順は、本質的にEU指令と同じであり、以下のステップになります。
UNECE R10型式承認手順
(1)認証機関の選択とその技術的サービス
・EUでの場合、EU加盟国は現在、28カ国である。これらの加盟国のいずれかで認証機関を選択する。
・技術的サービスは、その認証機関と関連のある評価部門であり、認証機関に代わって型式認証の技術的側面を処理することを委任された第三者(試験所)です。
(2)製造適合性(CoP)の登録
・認可機関は、すべての車両、電子サブアセンブリ(ESA)を生産する製造者が承認されたタイプの製品を生産する能力を実証することができることを承認します。そして製造業者に対してUNECEタイプ承認が与えます。
・製造業者はISO 9001などの品質管理システムが必須であり、承認機関自身による監査が行われます。
・品質管理システム等の監査は、証明書に記載される製造業者および各組立工場で行われます。
・この監査などの関連費用を製造業者が負担しなければなりません。
・製造手順の適合についての詳細は「国連規制-改訂3」のスケジュール1によります。
(3)情報文書の作成(付属書 2A / 2B)
・技術サービスと最悪ケース等に同意する前に、製造業者は情報文書を作成が必要です。
・車両の場合、これはUNECE R10.05の附属書2Aで、コンポーネントまたはSTUの場合は付属書2Bです。
(4)技術的サービスとの最悪試験条件と各種選択に合意
(5)EMC試験の実行
・認定機関に代わって ECE R10 のもとでの型式認定のための評価を実施する権限を与えられた試験機関は、テクニカル・サービスと呼ばれる。
(6)型式認証の申請
・試験が正常に完了すると、技術的サービスは認証機関に申請します。
・提出書類は承認機関によってレビューされ、問題がない場合は、認証機関は特定番号のある型式証明書を発行します。

(7)マーキング要求
・R10.05の5項に、コンポーネント/ STUに適用されるEマークのフォーマットが示されており、例は附属書1に示されている。
(8)認証後管理
・メーカーは、生産された製品がEMC要求に適合することを確実にする体制を構築し、管理しなければならない。


2.関連URL
・1958年合意、改訂3(2017年9月14日)Schedule 1 Conformity of production procedures
欧州共同体全車種承認指令(2017/1347 / EUのすべての改正を含む連結版)
UNECE規制10、改訂5、改正1(2016年10月8日)
文献UNECE規制10、改訂5(2014年10月9日)


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マルチメディア機器のイミュニティ規格(EN55035)の試験レベル値、判定基準について!

マルチメディア機器のイミュニティ規格(EN55035)の概要


1.EN55035:2017は有効になっています


マルチメディア機器が適合しなければならないEMC整合規格は以下になっています。
(1)エミッション規格:EN55032:2012/AC:2013
 (既に、2017年3月から、強制になっています。)
(2)イミュニティ規格:EN55024:2010、EN55020:2007又はEN55035:2017
・イミュニティ規格(EN55035:2017)は、2018年1月28日に発効され、2022年7月28日から強制になります


2.試験項目と試験レベル値


・本規格は、図1の様にマルチメディア機器の構成をポートに分類して、試験項目が規定されています。
・尚、詳細は本規格を参照下さい。
(0)ポート分類で規定
図1.機器のポート分類
図1.機器のポート分類
・試験項目、及び試験レベルは下のようにポート毎に規定されています。これらを列記します。
(1)筐体ポート
表.(1)筐体ポート
(2)アナログ/ディジタルポート(信号&通信)
表.(2)アナログ/ディジタルポート
(3)DC網電源ポート
表.(3)DC網電源ポート
(4)AC電源ポート
表.(4)AC電源ポート


3.性能判定基準は附属書A~Hに記載されている


・主機能により、判定基準はa)かb)を選択すること。
(1)主機能が以下に記載のAnnexの1つに該当する場合、その該当機能のAnnex(附属書)中の詳細な要求事項が優先される。

(2)主機能がAnnexAからHのどれにも該当しない場合は、一般性能判定基準を適用する。
a)機能別判定基準
Annex A: 放送受信機能
Annex B: プリント機能
Annex C: スキャン機能
Annex D: ディスプレイおよびディスプレイ出力機能
Annex E: 楽音生成機能
Annex F: ネットワーク機能
Annex G: 音声出力機能
Annex H: 電話機能
b)一般性能判定基準
・性能判定基準:A
 装置はオペレータの介入なしに、意図したとおりに動作を継続すること。装置の意図した使用において、造業者が定めた性能レベルを下回る性能劣化や機能喪失や動作状態の変化は許容されない。
・性能判定基準:B
 妨害試験中の性能の劣化は許容される。しかし、試験後に意図しない動作状態や保存データの変化が持続することは許されない。試験後、装置はオペレータの介入なしに、意図したとおりに動作を継続すること。
装置の意図した使用において、製造業者が定めた性能レベルを下回る性能劣化や機能喪失は許容されない。
・性能判定基準:C
 機能が自己回復するか、または使用者が製造業者の取扱説明書に従い制御することで回復するならば、機能の喪失は許容される。リブートや再スタートは許容される。
不揮発性メモリに保存、または電池によるバックアップ保護されている情報は、喪失しないこと。


*関連記事
マルチメディア機器のエミッション規格(EN55032)の概要と許容値


*参考:EN 55035体系図
EN 55035:2017体系


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EMC指令における、各製品に該当するEMC規格は何か!

*EMC規格は製品カテゴリ毎に、該当する規格が異なり、試験法、限度値なども違います。
・従って、製品ごとに該当するEMC規格を適切に選択する必要があります。


*主な製品のEMC規格のリストを下表に示します。


・表.主な製品カテゴリ毎のEMC規格リスト
表.主な製品カテゴリ毎のEMC規格リスト-1
表.主な製品カテゴリ毎のEMC規格リスト-2


*参考
CEマーキング関連のEU公式サイト(URL)!


EMCテスト、及びテストレポート作成を代行します!
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EMC認定試験所の公平性リスク分析!

試験所認定規格であるIEC 17025:2017の新版で追加されたリスクベースのアプローチについて一つの例を示します。
改訂内容については次のURLを参照下さい。・試験所認定規格:ISO/IEC 17025の改訂!


(1)不公平につてのリスクを洗い出す。下①~⑬は予想されるシナリオ。
① コンサルティングの提供(例えば、EMIトラブルシューティング)
② 試験所サービスの拡大、及び試験の運営
③ 技術訓練の提供、試験の運営
④ 特定の雇用期間内における試験の実施
⑤ 顧客と試験エンジニアとの親密性
⑥ 有利なテスト結果を要求する財政的圧力
⑦ 有利なテスト結果を要求するその他の圧力
⑧ 試験過程において直接的または間接的に関与する団体または個人との関係
⑨ テストデータの機密性
⑩ 顧客が特定の試験エンジニアを要求する
⑪ テスト記録の改ざん
⑫ 試験所の他の部門の関与によるリスク
⑬ 検査プロセスにおける要員への知覚される圧力/ストレス


(2)リスクの頻度、重大性、分類を設定する。
下表①、②、③を設定する。
①リスクの頻度

②リスクの重大性

③リスクの分類


(3)上記(1)の各種リスク要素を検討して、(2)の①②③により、見積りを行う。


・リスクシナリオの例(コンサルティングの提供)


新ISO/IEC 17025:2017の発行の動画

マルチメディア機器の製品安全規格(IEC 62368-1)の対象機器と規格体系!

*IEC 62368-1規格は、「規格構成、主なポイント」を認識して、規格を見ると理解しやすくなります。


・表題:「オーディオ・ビデオ及び情報通信技術機器」の安全要求事項(Audio/video, information and communication technology equipment – Part 1: Safety requirements)


*主なポイントは以下です。


・適用範囲:「適用の機種例」が附属書Aに記載されている。(下表参照)
・一般要求事項は第4章と附属書
・各危険源リスクへの要求事項を5章~10章に記載
①電気的傷害(5章)
②電気による火災(6章)
③有害物質(7章)
④機械的傷害(8章)
⑤熱による傷害(9章)
⑥放射(10章)
・試験項目と要求内容がIEC 60950-1と大きく異なる。
・試験レポート形式もIEC060950と違う。→再試験要
・「各リスクの限度値」は危険エネルギーの危険レベル(分類)により、異なる。


*対象機器:対象機器の例(附属書A参照)


表.対象機器の例


*IEC 62368-1とIEC 60950-1の体系


(1)IEC 62368-1体系
図.IEC 62368-1体系

(2)IEC 60950-1体系
図.IEC 60950-1体系


*参考情報:JEITAから比較表が公開されている
IEC 62368-1 第 2 版 - IEC 60950-1 第 2 版 Amendment2 対比表


 

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